昨年4月から今年10月まで約1年半、ネットとマスコミの向き合い方を取材してきた。これまでの取材活動を出版社の動向を中心に振り返ってみたい。 電経新聞に連載した「ネットとマスコミ」は2009年4月にスタートした。激動するネットとマスコミの関係をじっくり取材して見極めたいという思いから始まった企画だ。もともと1年以上の連載にする予定だったが、開始当初、「最後の総括では『逆襲するマスコミ』『ネットで再生するマスコミ』くらいの見出しを付けることになるのではないか」という、いま思えばひどく甘い見込みを立てていた。要はマスコミの底力に期待していたわけだ。 結局マスコミを取り巻く厳しい事業環境は、当時といまとで何も変わっていない。ひどくなっているようには見えないが、改善しているともいえない。あえて表現するなら「苦境の固定化」といったところか。 そのような中、従来よりもネット事業に傾注する社が増えているの