ブラジル・サンパウロで日本人の経営する安宿のドアを叩くと、肥満気味のやり手の女主人が出窓の格子から顔を出した。「ヘヤ、ミテミル?」。彼女は日系2世。少し妙なイントネーションの日本語を交え、古いコロニアルなアパート内の客室へと私を案内する。 建物は結構な年代物で、部屋はドミトリーのみ。トイレ、シャワーは共同。飴色にワックスで磨き上げられた木の床板。壁には孫や娘の家族の写真がところ狭しと掲げられ、知人の家に居候として厄介になるような、客として気兼ねなく振る舞えないような、窮屈で、くつろぎにくい雰囲気が漂っている。 ロビーを覗くと3人の長期滞在者がけだるそうに会釈をした。この宿は以前は世界3大安宿としてバックパッカーの間ではその名を轟かせていた。だが、日本人専用の宿のため、金額的にはそれほどの割安感がない。近くの東洋人街で中国人らが経営する「個室、トイレ、シャワー付き」の宿とほぼ同じ金額である。
ごく一握りの誠実で有能な方を除いて——と言うことにしておこう、皆無と言う訳じゃない——現在日本で文芸評論家として活動している人間は、概ね二種類に分けられる。チキンと、無能者だ。まあ文芸評論などというのは小説以上に食えないから、出版社のお覚えを損なわないよう、業界の爪弾きにならないようチキン化するのは理解できないこともない。しかし無能者と言うのは! 読解し論じるスキルなぞ努力次第で使える水準まで上げることも出来ように、それを怠っているというのは、これはもう犯罪である。 だから文芸評論は使えないと作家に言われるのだ。チキンや無能者の評論を反省の種にする馬鹿はいない。評論と実作の間の良きフィードバックなぞ、勿論望むべくもない。 では仲俣暁生氏はどちらであろうか。ブログに載せていた2009年のベストを見る限り、チキンであることはほぼ間違いない。立派な御用評論家ぶりだ。ではスキルの方はどうか。 20
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