2016.12.13更新 タイのプミポン国王が崩御する少し前のことだが、10月にまたバンコクを訪れた。東京に既に訪れていた秋の気配はバンコクの街にはまだ無かった。あるいはそういう気配は訪れない場所なのかもしれない。春に来た時と変わらず空港の中にはじっとりとした湿気に満ちていた。半袖姿の屈強な警備員の姿をみて、寒い場所から自分は来たのだと改めて思う。 同じことを今は亡き梅棹忠夫が『文明の生態史観』(1957)に書いていたことを思い出した。梅棹は日本から東南アジアへと降りた私とは逆の立場で、中東から東南アジアへ長い旅を経て東京の空港に降り立った時に、日本に漂う空気の肌寒さを感じたらしい。日本という国は寒い国なのだ。 仕事の合間に、バンコクの友人がプロジェクトを手がけたという百貨店の内装を観に行った。Siam Discovery(サイアムディスカバリー) という百貨店はnendoを主宰する日本人