欧州各国からたたかれ、アメリカでは自国の銀行が米当局から取り調べられ、銀行員は国際手配される始末。かつてスイスが金融市場として成功するのに重要な役割を果たした銀行守秘義務は、ほんの数年のうちに重い担保へと変貌してしまった。 「チューリヒで今日、銀行員と会ったのだが、皆、頭を横に振っていた」と、ルガーノ(Lugano)で弁護士を務め、ザンクトガレン大学の経済法の教授でもあるパオロ・ベルナスコーニ氏は話す。 「40年間仕事をしてきた中で、こんな危機を経験したことは一度もない。スイスの銀行システムに対し攻撃をしかける戦争といってもいい。世界中の歩兵隊が我々に照準を合わせ、新しい攻撃を毎日行っている。銀行の重役にはスイスを離れられなくなった人も多い。国外に出たら現地で拘束される恐れがあるからだ」 スイスの銀行部門に吹き荒れる嵐は、信じられないような話も生んだ。8月上旬、ジュネーブに務める銀行員の1
各種の調査によると、スイスには不動産バブルが膨らんでいる地域がいくつかある。専門家の間ではこの結論に納得しない向きもあるが、当局はそれでも銀行に対し、融資の際には慎重を期すよう求めている。 スイスの銀行最大手UBSの報告によると、2012年第4四半期には不動産市場の過熱リスクがさらに増大した。「インデックスは明らかに危険ゾーンにあり、不動産市場の不均衡が深刻化しているようだ」と記されている。比較ウェブサイトのコンパリス・ドット・シーエイチ(comparis.ch)と連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ/EPFZ)も、ある報告の中で「11の地域で明らかにバブルが認められる」と警鐘を鳴らす。 バブル崩壊のリスクをはらんでいるのはジュネーブやチューリヒなどの都市およびその近郊、そして人気のリゾート地だ。ジュネーブの不動産会社アナリーズ&デヴロプマン・イモビリエ(Analyse & développ
アートの保存・修復業界はこれまでにない難問に直面している。現代アートでは、従来とは異なる技法が用いられたり、老朽化が早く寿命の短い素材が使用されたりするからだ。そうした中で保存される作品もあれば消えていく作品もある。 合成物質は時間とともにひび割れし、彫刻のスペア部品は手に入らなくなり、視聴覚機器は使いものにならなくなる。また、今までに試されたことのない物質、分解性物質、最新メディアの利用や1970年代以降のパフォーマンスおよびコンセプチュアル・アートの出現により、アート修復という職業もまた、変化を強いられ新たな専門化が進んでいる。 さらに、すべての現代アートが保存されるべきかという問いに、事態は複雑になる一方だ。 「一つ一つの作品が、すべて新たな挑戦だ」と言うのは、ジュネーブのアート修復家で、業界の第一人者でもあるピエール・アントワンヌ・エリティエールさん。現代アートの強みは、ほとんどの
おすすめの記事 スイスの「生物多様性イニシアチブ」は行きすぎ?それとも必要? このコンテンツが公開されたのは、 2024/08/25 9月22日のスイス国民投票で、生物多様性の保護を憲法に明記するイニシアチブ(国民発議)の是非が問われる。自然保護団体が出した提案だが、政府や議会など各方面が反対している。 もっと読む スイスの「生物多様性イニシアチブ」は行きすぎ?それとも必要? おすすめの記事 集団出稼ぎ、16時間労働…スイスの児童労働の歴史 このコンテンツが公開されたのは、 2024/08/24 スイスでは19〜20世紀前半、少年少女は家庭内労働力として不可欠な存在だった。特に農業でそれが顕著だった。産業革命が進むと今度は安価な労働力として搾取されるようになった。いま国内で開かれている展覧会では、あまり知られていないその児童労働の歴史に光を当てている。 もっと読む 集団出稼ぎ、16時間労働
スイスでは小売店の営業時間をめぐる住民投票が、国レベル、州レベル、基礎自治体レベルで頻繁に行われている。諸外国に比べて営業時間が短いスイスだが、その背景には直接民主制が関わっている。 スイスの多くの地域では、平日18時30分以降および日曜日は小売店が閉まっており、食料品を購入することができない。これに驚く外国人は少なくない。 「スイスは他国で起きたような失敗をしたくないのだ」と話すのは、労働組合ウニア(Unia)のエヴァ・ゲール氏だ。「スイスにはイニシアチブ(国民発議)や、(憲法改正・法律制定の可否を国民・住民投票で決める)レファレンダムなどの直接民主主義があるため、1990年代に欧州諸国で起きた自由化の波を止めることができたのだ」 ゲール氏がそう語るように、労働組合は州レベルに限らず国レベルでもこうした直接民主主義制度を活用し、自分たちの要求を実現させてきた。ゲール氏はまた、「スイス国民
チューリヒ州で来学期より導入される新規定により、スイスに駐在する外国人の子どもたちがインターナショナルスクールに入学できない可能性が出てきた。 そこで、スイス独自のカリキュラムだけでなく国際的に通用するカリキュラムも提供する学校が、入学できない子どもたちの誘致を試みている。 今後、子どもを地元の公立学校に通わせることを余儀なくされる外国人の親たちにとって、そうした2カ国語のカリキュラムを提供する学校は救いとなるかもしれない。 チューリヒ州教育局は昨年9月、外国人融和政策の向上を掲げ、2012年8月に始まる来学期から、インターナショナルスクールの入学を制限する新規定を導入することを決定した。 この規定は、チューリヒ州への滞在が一時的であること、もしくは子どもがこれからもドイツ語以外の教育を受け続けることを証明できない場合は、外国人の子どもも地元の公立学校に通わなければならないと定めている。
地球温暖化が叫ばれている今日、太陽エネルギーの活用はより注目されるようになった。現在、バーゼル出身の研究者2人が、空気を吹き込んで膨らませることのできる管に太陽熱を集めて発電する方法をウィーンで開発している。市場に出回るのは2016年だという。 巨大なソーセージのようなこの管は「ヘリオチューブ(Heliotube)」と呼ばれている。 試作品の長さは35メートル、直径は約2メートルほどある。 オーストリアのニーダーエースタライヒ州ツヴェンテンドルフ(Zwentendorf)のデュルンローア(Dürnrohr)蒸気発電所。スイスの2人の開発者はここに客員として迎えられ、敷地内に設置されたテスト用のヘリオチューブを使って3月からテストを行っている。 太陽エネルギー開発会社「ヘリオヴィス(Heliovis)」のディレクター、フェリックス・ティーフェンバッハー氏は嬉しそうな顔で吉報を知らせる。ヘリオ
このプロジェクトには国際的にもその名を知られる日本人建築家磯崎新(いそざき あらた)氏が参加している。 同氏が設計した移動式コンサートホール「アークノヴァ(ARK NOVA)」が2012年春から日本の被災地を回り、音楽と共に希望を届ける。 プロジェクトを主催するのは世界的に有名な音楽祭「ルツェルン・フェスティバル(LUCERNE FESTIVAL)」。今回の発表は今月10日から始まる音楽祭に先立って行われたもので、同プロジェクトには日本のアーティスト・マネージメント会社大手の「KAJIMOTO」が共同企画・提案をした。 膨らませるコンサートホール プロジェクトの目的は、移動式のコンサートホールと共に被災地を巡り、音楽や芸術作品で人々に希望と自信をもたらすこと。「芸術の力で被災地の方々の役に立てたら」と、磯崎氏は苦難な状況にある人々に救いを差し伸べるノアの箱舟をイメージして設計した。 設置・
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く