90年代とは不思議な時代だった。鬼畜系と呼ばれるジャンルが生まれ、多くのメディアが過激な特集を組むようになっていた。死体写真や特殊AV、ロリコン文化が普通にまかり通り、宅八郎や蛭子能収といったクセの強い人々もテレビ出演を果たすようになる。2019年現在、90年代サブカルのほとんどは人々から忘れ去られた。しかし、一部のYouTuberに代表されるような「面白ければ何でもいい」といった感覚は、90年代に生まれたといっていいだろう。 90年代サブカルを今、どのように語るべきかは非常に難しい問題だ。倫理的には完全に間違っている作品・人間が多いものの、現代の視点から一方的に糾弾するのもフェアではない。それなら、当時のブームを肌で知っている人物に語ってもらえばいい。『90年代サブカルの呪い』(ロマン優光/コアマガジン)は、ミュージシャンであり作家としても活躍するロマン優光氏が、「正しく」90年代の狂騒