しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF) 作者:グレッグ イーガン早川書房Amazon イーガンは、順列都市もディアスポラもたいへん気に入って、たぶん高校か大学時代なら全作品を読みあさったところだろうけど、いまはそうならないのは、ぼくがすれっからしの読者になってしまったせいなんだろう。 だから本書『しあわせの理由』も、刊行から十年以上たった今になってやっと読んだ始末。買ってはあったんだけどね。 この本は(いやイーガンはすべてそうだが)、脳移植や、死や不幸に対するラッダイト的あこがれ、化学的感情コントロール、コンピュータ内の意識のありかた等々、テクノロジーと人間性との関わりをテーマにした中短編集で、どれもおもしろいんだけれど、やっぱりこの歳になると、どのテーマもまったく予想外というのはない。もちろんワームホールランナーとか、量子サッカーとか、一夫一婦制を強制するウィルスの概念設計とか、意外な仕掛
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