行政学は、近代国家から現代国家への過渡期に際し、現代国家に必要不可欠の行政体制を整えるという制度改革の課題に応えて誕生した学問である[1]。西尾勝の言を借りれば、制度学・管理学・政策学という3つの側面を持つ[2]。 行政学が扱う「行政」の定義は曖昧かつ複雑である。西尾によれば、関係概念としての「行政」の定義の試みは、主に3つに分類される。1つ目は、主に公法学で議論されてきた、立法権・司法権・行政権という三権の一つ、という関係設定の方法であり、これをめぐって消極説・積極説の対立がみられた。2つ目は、政策過程における執政・行政・執行、という観念的な3形態の中での一つという定義であり、ここでの行政の役割は、執政(内閣・大統領府)における政治決定をサポートし、そこで決められた決定を実施するために執行部門を監督する、という管理職的ものとして捉えられる。 3つ目は、政治・行政2元論の枠組みの中での行政