苦く悲しい「つなぎ」なき勝利 【金子達仁】2010年06月17日 氷雨の降りしきる国立競技場。観客の大半は在日のコリアン。水たまりで止まったボール。すくいあげた原博実の右足。1―0。終了のホイッスルが鳴った瞬間、まだ学生だったわたしは号泣した。日本が北朝鮮に勝った。押されっぱなしだった試合に勝った。試合のレベルはお粗末だったけれど、W杯メキシコ大会に少しだけ近づいた。嬉(うれ)しくて、信じられなくて、号泣した。 だから、喜ぶファンの気持ちは痛いほどにわかる。大いに喜んでいい。サッカーというスポーツにより深く興味と愛情を持ってもらえれば、この勝利は大きな意味を持っていたということにもなる。 わたしは、喜べない。 守って守って守り抜いたという点、そして試合自体のレベルが低かったという点において、今回のカメルーン戦と85年の北朝鮮戦は似た部分がある。だが、決定的に違っていたのは、北朝鮮と戦った
君子豹変の効果は? 【西部謙司】2010年06月09日 壮行試合の韓国戦に完敗すると、岡田武史監督は戦法を修正した。イングランド戦では阿部勇樹をアンカーに起用した4-1-4-1の守備重視にシフト、これで手応えを感じたのかコートジボワール戦でも同様の戦法を使った。コートジボワール戦では長谷部誠がトップ下に起用されたが、これはカメルーンのボランチで攻撃の起点となるアレクサンドル・ソングへの対策だろうから、本質的にはイングランド戦と同じ戦術だと思う。 W杯直前になって、戦術的に変化があったわけだ。 02年大会を率いたフィリップ・トルシエ監督のときも変化があった。00年のアジアカップで圧勝した日本は、年明けの3月にパリでフランスと親善試合を行って0-5と大敗。次のスペイン戦では極端に守備的な戦術を採用した(0-1)。サンドニでのフランスに対する大敗は、アジアカップで見た夢から現実に引き戻された
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く