気候変動など地球環境の変化が人類に絶大な影響を及ぼすことは、いまの世界で否定しがたいだろう。だが、われわれが人類史をたどるときに、自然界からの影響をどこまで考慮してきただろうか? その影響を加味すると、人類史はどう見直されるのか? 英オックスフォード大学でグローバルヒストリーを教える歴史学者のピーター・フランコパンに、米メディア「ブルームバーグ・グリーン」が聞く。 人類はずっと地球の気候に恐怖を覚え、また取りつかれてもきた。ほぼすべての文明の創世神話が、完璧な楽園の喪失、大洪水、7年におよぶ干ばつ、あるいは容赦ない天災といった巨大な気候変動に基づいているほどだ。 だが、歴史家らは伝統的に帝国や戦争、偉大な発明といった人類の仕業に注目し続け、人類に同じくらい強烈な影響をもたらしてきた火山の噴火や過酷な冬、凶作などには見向きもしなかった。 人類史と自然史を再統合することがいまわれわれを取り巻く