「漢字は表意文字です。そして,かなは表音文字です」と義務教育でならったような気がするが,だれがそういっていたのか,その人の顔がおもいだせない。漢字は音をあらわさないのだろうか? 漢字の母国中国でも,漢字を日本につたえた王仁博士の国朝鮮(地理上の名としての)でも,漢字は1字1音節で1単語をあらわすはずだ。 「漢字は単語と,単語つくりの要素をあらわす文字である」という説明はただしいだろう。(「にっぽんご 7 漢字」むぎ書房 1969年) それによれば,漢字は(「表意文字」ではなく),「単語文字」であり,歴史的変遷において「要素文字」に移行することがのべられている。そして要素文字に移行すれば意味をあらわす機能をうしなっていくという。「漢字は表意文字です」という説明は本当なのか? かんがえなおす必要がある。 実際には,漢字を「表音文字」としてもつかう例は,中国でも日本でも,古代でも現代でも存在する