5メートル先の普通の女の子 もともと特別なオンリーワンなんていう歌が流行ったこともあるようなこの世界は、その歌をミリオンヒットさせた特別な人たちではなく、オンリーワンの花と言えるような存在でもない、たった5メートル離れれば周囲の風景に溶け込んでしまうような、誰でもない、平凡な、「普通の女の子」たちでできている。 そんな取るに足らないチリたちが、嫉妬しあったり、悪意を持ったり、夢中で崇拝したり、セックスしたりすることで地上は色づき、また退屈すぎて死なない程度には興味深いことが起こることもある。 自らを「ブロガー・作家」と名乗るはあちゅう初の本格的な小説集『通りすがりのあなた』に登場するのは、そういう、ごく普通の感覚で地上の生活を全うする女の子たちである。就職活動後の旅行、短期留学中の異国の地、大学生がもうすぐ終わるという時期の合コンの合間、そういう、特別と言ったらあまりに大げさな、でも確かに
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