メメさんが死んだ。 正確には、半年前にもう死んでいるんじゃないか、って分かってて その遺体が発見された。 遺体はトキさんの家の横にあった物置のすぐ裏側にあったらしく 丁度物置が老朽化して、新しいのに入れ直す作業をしていたトキさんの息子さんが見つけたらしい。 メメさんの遺体は、綺麗に白骨化していたそうだ。 トキさんの家の物置は道路からもほど近かったけど、 誰も異臭に気が付かなかった。 息子さんいわく 「猫は最後まで飼い主に迷惑をかけないんだよ」 と言った。 メメさんは、肩からせ中にかけて灰色の細長い模様がある、白い猫だ。 息子さんはトキさんを「飼い主」と呼んだが、正確にはメメさんはトキさんの飼い猫ではない。 メメさんは、5,6年前にこの界隈に紛れ込んだ野良猫だ。 片目を何時も半開きにして、目やにを出しているから、 「おメメちゃん」と呼ばれていた。 メメさんは神社の横にある公園の植え込みに時折