経営再建中のシャープに対し、主力取引銀行が危機対応策の準備を要請した。業績は上向いてきたが、米アップルの失速が新たな懸案として浮上している。追加の合理化策として、シャープは事業売却の検討を余儀なくされそうだ。 2013年が本格的に始動した1月初頭。シャープの奥田隆司社長は、東京都内で主力取引銀行を訪問した。目的は恒例の年始挨拶だ。しかし、出迎えた銀行幹部との会談の場は、新春に似つかわしくない重苦しい空気が漂っていたという。 「業況は右肩上がりになってきた。為替相場も円安になったし、2013年3月期下期は約束通り営業黒字を達成できる」――。奥田社長は2012年10~12月期の業績が、社内計画を上回ったと説明したもようだ。年明け以降も業績は回復基調が続いているとし、昨年9月に主力行から総額約3600億円の追加融資を受ける際に公約した2012年10月~2013年3月期の営業黒字化に、強い自信を示