國中が開発したマイクロ波型イオンエンジンは、従来のエンジンとは根本的に発想が異なる。それは、原子そのものの物理を利用した、近未来型のエンジンだ。地上では1円玉を動かす程度の推力だが、驚異的な持久力を誇る。はやぶさが、たった60キロあまりの燃料で7年間60億キロの航海ができたのも、國中のイオンエンジンがあったからだ。 國中は、実に20年以上の歳月をかけ、このイオンエンジンの開発に挑んできた。NASAなどが開発の難しさに撤退を決め、国内でも“穀つぶし”と言われるほど厳しい状況に追いやられても、この技術こそが、新たな世界の扉を開くと信じ、こつこつと研究を続けてきた。見据える先には、1つの夢がある。人類が火星や月に暮らし、自由に惑星間を行き来する時代、“宇宙大航海時代”だ。 「こんなこともあろうと」。宇宙戦艦ヤマトの技師長、真田志郎のせりふだ。國中が好きなこの言葉は、自身が宇宙工学者として大切にす
![國中均(2014年4月7日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/13a804273f3bb12a192986b8d2ce675aa23ce813/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.nhk.or.jp%2Fprofessional%2F2014%2F0407%2Fimages%2Ftitle.gif)