幕末における西欧列強への危機意識のなかで強力なイデオロギーとして醸成された後期水戸学による論から、終戦を経た新憲法制定、象徴天皇制に関わる国体論にいたるまでを通時的に解説。 「日本とは何か」が問われるいま、国家の特殊性・固有性を志向する思想・言説の史的展開を探る歴史学としての国体論。 はじめに 序 章 1 国体とは 2 国体の語義 第一章 幕末、後期水戸学における国体観 1 幕末の国体論 2 会沢安『新論』の国体観 3 藤田東湖『弘道館記述義』にみる国体観 第二章 啓蒙思想家の国体論 1 啓蒙思想 2 加藤広之の『国体新論』 3 福沢諭吉の国体観と『帝室論』『尊王論』 第三章 教育勅語と国体 1 教育勅語の成立 2 内村鑑三の不敬事件 3 教育勅語にみる国体観 第四章 帝国憲法の成立と国体論 1 穂積八束の憲法論と国体論 2 上杉慎吉の憲法論と国体観 3 美濃部達吉の憲法論と国体観 第五章