実は副題に誘われて購入したのだが,非常に面白かった。歴史家である著者が,戦国大名の形成について論じているのだが,僕がイメージしているような「歴史学」とはちょっと違っていて,まさに「政治学」の文献と言ってよいのではないかと。著者によれば,戦国大名のイメージとして「イエ」を支える人格的・私的な主従関係による支配と,領域の裁判権などをもつ統治的・公的な支配が二元論的に分けられていて,前者のほうが中世的で暴力を強調するもの,後者のほうは近世的で法を強調するものというようにとらえられるという。著者は,このような二元論を排して*1,暴力と法が分かちがたいかたちで戦国大名の権力を構成していることを,実際の文書の解釈などを通じて示している。 とりわけ面白いと感じたのは,領域にさまざまに存在する個々の権利である「知行」を超えた領域支配の枠組みである「領」という観念が広がっていくところで,それが公共性を持ち,
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