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ブックマーク / font-da.hatenablog.jp (47)

  • 永井均の発言について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    永井均が、あるトランス差別に擁護ともとれる発言をして、ネットで話題になっている。発端は、永井の元教え子の谷口一平が、自分の投稿論文につけられた査読コメントをSNSで公開したことだ。谷口の論文はトランスジェンダーをテーマにしているが、査読の結果、不採用となった。しかしながら、谷口は査読者が、哲学研究者ではなくジェンダー論者であったことを批判し、不当な査読であったと訴えている。 togetter.com 谷口の主張の内容には踏み込まないが、これらの発言を一般論として「査読への不満」として理解する。トランスジェンダーをテーマにした論文であれば、どんなジャーナルであれ、ジェンダー論者が査読を担当することは十分に予測できる。そのために、学際領域を扱う哲学研究者であれば、先行研究を十分に精査し、査読者を説得できるよう先回って論を組み立てる必要がある。私自身、学際領域にいるし、うまく書けずに査読者に全然

    永井均の発言について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 社会運動と暴力 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    沖縄の反基地運動が話題になっています。座り込み(シットイン)の定義が議論になっていましたが、ものすごくよくある運動戦術なので、規模や場所や時間の長さなどがバラバラなのは当たり前だろうと思います。ところで、反基地運動であれ、どんな運動においても暴力行為はゆるされない、という声が上がっています。 yoppymodel.hatenablog.com それでは、過去の社会運動における暴力事件を振り返ってみましょう。水俣病運動では、自主交渉派によるチッソ東京社での1年8ヶ月にわたる座り込みの運動(1971-1973)がありました。かれらの目的はチッソの社長と対話することです。結局、正面からの対話は受け入れられなかったので、自主交渉派は突入部隊を組織して*1社長室を占拠し、膝詰めで社長と話し合いました。その様子は映像で記録されています。その後、自主交渉派は補償協定を結ぶ立役者となります。 水俣一揆-

    社会運動と暴力 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2022/10/15
    「背景はどうあれ、暴力は暴力でしょ」の暴力性について。
  • オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」が話題になっているようです。私も署名しているので、改めて読み返したのですが、問題点がどこにあるのかわからないので困惑しています。オープンレターは以下で公開されています。 sites.google.com オープンレターは、日語圏の言説空間において、性差別を指摘する行為をからかったり揶揄する「遊び」の文化があることを指摘しています。そして、そこから距離を取ることを宣言しています。私はこのオープンレターのきっかけとなった、ある歴史学者による差別行為、さらにそれを多くの研究者が加担したり、見て見ぬふりをしたりしていたことに強い衝撃を受けました。以前から書いていますが、私はほぼ衝動的にそれまで使っていたTwitterのアカウントを消しました。自分もその文化の一翼にいたのだろうし、自分自身もそれに加担しているのかもしれないというのは恐怖でしかなかった

    オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 仲正昌樹『統一教会と私』 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    あるオンライン署名活動*1をきっかけに、統一教会が話題になっている。 私は、統一教会はカルトであり、入会を希望しない限りは決して近づかないほうがいい団体だと考えている。ただし、悪魔化するものよくないと思い、たしか仲正昌樹氏が自分の入信体験をにしていたと記憶していたので、検索して見つけた。タイトルもストレートな『統一教会と私』である。 統一教会と私 (論創ノンフィクション 006) 作者:仲正昌樹 論創社 Amazon このは、以前、出版された『Nの肖像』を増補・新装で出版社を変えて出したらしい。 Nの肖像 ― 統一教会で過ごした日々の記憶 作者:仲正 昌樹 双風舎 Amazon 大変面白いだったが、なんとも言えない。まず、こので仲正さんは統一教会の教義やシステム、勧誘、信者の活動について明確に説明している。教義については、従来のキリスト教との聖書の解釈の違いがわかりやすく述べられる

    仲正昌樹『統一教会と私』 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 「些細である」からこそ大事なセクハラの話 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    セクシュアル・ハラスメントという言葉は、1989年に福岡地裁で始まった訴訟(通称:福岡セクハラ訴訟)をきっかけに、広く知られるようになった。この裁判で弁護団は、福岡の小規模の出版社に勤務する女性が、性的な中傷を受けたことを、性差別によるものであると訴えた*1。また、そのころ「働くことと性差別を考える三多摩の会」がセクハラアンケート調査を実施したところ、全国から多くの女性から、職場で困難な状況に置かれているという声が寄せられた。 女6500人の証言―働く女の胸のうち メディア: ハードカバー 「セクハラ」という言葉は、刑事事件として告発されるようなレイプから、職場での不平等な扱い、性的なからかいや中傷、職場にヌード写真を貼るなどの職場環境の問題、女性だけにお茶汲みなどをやらせるなどの性別に基づく役割の固定化など、多岐にわたっている。つまり、第三者が聞けば、「犯罪だ」「暴力だ」と思うような行為

    「些細である」からこそ大事なセクハラの話 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • WANのトランス差別を含む文章掲載について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    WAN(Women's Action Network)に、石上卯乃氏によるトランス差別を含む文章が掲載された件で、ここのところネットで議論になっていました。ふぇみ・ぜみ×トランスライツ勉強会は、WANに対して公開質問状を出し、以下のことを指摘しています。 石上氏による当該エッセイは、トランスジェンダーへの差別をフェミニズムの語彙を用いて正当化し、誤った印象操作をするものです。生理などの身体的特徴によって性別が決まるのだと主張して、ミスジェンダリング(誤った性別割り当て)を煽動するとともに、トランスジェンダー排除言説への批判を攻撃と読み替えたり、トランスジェンダー排除派フェミニストを被害者として逆転させたりなどのイメージ操作を行っています。 https://femizemitrans.blogspot.com/2020/08/blog-post.html 以上のように、石上氏の文章がトランス

    WANのトランス差別を含む文章掲載について - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2020/08/31
    “多くの人々は、自分を差別を「する人間」の前ではうまく話せません。緊張や恐怖、不安などから、スムーズに言葉が出なくなることもよくあります”
  • 男性から男性へ語ること - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    ナインティナインの岡村隆史さんの発言が大炎上している。岡村さんは2020年4月27日のラジオ番組の「オールナイトニッポン」で以下のように発言した。 苦しい状態がずっと続きますから、コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢やります。これ、何故かと言うと、短時間でお金をやっぱり稼がないと苦しいですから、そうなった時に今までのお仕事よりかは。 (スポニチによる書き起こし記事を参照) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200427-00000196-spnannex-ent はじめに書いておくが、私はこの岡村さんの発言は下劣だと考えている。この発言から滲み出るのは、「経済的に苦境に陥った女性たちを高みの見物をして楽しむ態度」であり「その女性たちの頬を札びらで張る態度」である。すなわち、経済的に恵まれ*1、安全な場所から女性たち

    男性から男性へ語ること - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2020/05/04
    ブコメにあるように成熟の問題だし、成熟するための個人的な例示として結婚が持ち出されているだけだと思った。「49のおっさんに48のおっさんがこういう話するのはきつい」とか言ってたけど、それに尽きる。
  • 大学に行かずにフェミニズムを学ぶ方法 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    すっかりインターネットでもフェミニズムがお馴染みになり、「いったいフェミニズムとはなんなのか?」「どうやって勉強すればいいのか?」と聞かれることが増えた。「フェミニストがちゃんと説明しろ」という声もある。そんななかで、大学でジェンダー学*1に触れたが、絶望したという経験を書いている人がいる。 八谷リナ「ジェンダーヤクザがジェンダー学に絶望した話」 https://note.mu/rina_hachiya/n/n8ae145f01de5 八谷さんは女子大に進学し、ジェンダー学の授業を履修したが、以下のような経験をしたという。 先生は異常な厳しさで私たちを制圧した。誰も意見できなかった。そして「今までのあなたたちの価値観は間違っている」と男女観をぶち壊しにかかった。授業内容は安定の「男は加害者・女は被害者」というものだった。 そして次のような心境に至った。 私はどんどんミサンドリーに苦しめられ

    大学に行かずにフェミニズムを学ぶ方法 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2019/11/02
    “「なぜ私は、こんなにも女性であることが苦しいのだろうか?」という疑問を持つ人”いわゆる「弱者男性」の人達もアンチになるよりこうしたフェミニズムの軌跡に学べることは多いはずだが。
  • 「男」に「男」は救えるか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    ここのところ、はてな匿名ダイアリーで、(シスヘテロの)男性と男性の関係についての、男性の書き手による記事が次々と公開されて、ブックマークを集めている。 これまでネット上では「弱者男性」を名乗る人たちが、(経済力のある)女性は(経済力のない)「弱者男性」と結婚して扶養することにより救うべきだという主張をすることがあった*1。それに対して女性から、男性は女性に救いを求めるのではなく、男性に救いを求めるべきだという指摘が寄せられることはよくある。 今回、次々と公開される記事は、男性と男性が人間的に(または情緒的に)繋がることによって、男性が救われることについての困難が言語化されている。 男同士が遊ぶことに楽しさがないわけじゃない。 ただ安心して弱さを見せ合い、ベッタリともたれ合うことはできない。 いわばスポーツや対戦ゲームみたいなもんで、調子のいい時、面白いとき、人生が恵まれている時にお互いの

    「男」に「男」は救えるか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2019/06/22
    こういう案もありますよ、という程度の話だと思うんだが、ほとんど反射的に「フェミガー」的な反応が出てくるあたりに、「弱者男性」のはまり込んだ悪循環の深さが垣間見える。それでは取り付く島がないじゃん。
  • 原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」を試写で観た。 泉南地域はかつて石綿紡績業が盛んだった。石綿(アスベスト)は断熱材、防火財、機械の摩擦防止のためにあちこちで使われ、日の経済成長を支えた天然鉱物である。しかしながら2005年の「クボタショック」をきっかけに、全国的に石綿産業に関わった人たちの健康被害が明らかになった。石綿は防塵に混じって吸い込まれ、肺に突き刺さって20年以上の時間をかけて肺がん、中皮腫などの重い病気を引き起こす。泉南地域の人たちも石綿の健康被害を訴えて国家賠償を求める運動を展開していく。 この作品はそうした泉南の泉南アスベスト国賠訴訟の運動を追ったドキュメンタリー映画だ。高齢の原告の中には在日朝鮮人・韓国人で、他地域で差別され流れてきた移住者もいる。これまで社会運動に縁のなかった労働者とその家族が集まって、自分たちの手で補償を勝ち取ろうと立ち上がる。裁判は二転三転し、

    原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 性暴力被害者の告発をどう受け止めるのか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    この記事は三部構成になっています。関心に即してお読みください。 (1)はあちゅうさんの性暴力の告発 (2)はあちゅうさんに対する批判 (3)告発した被害者と支援者はどのような状況に置かれるか (1) はあちゅうさんの性暴力の告発 いま、インターネット上で性暴力の告発が次々と行われている。きっかけは英語圏で始まった「#metoo」というタグである。過去に性暴力被害を受けていた人たちが、自分の経験を語り出した。日でもTwitterを中心にして、性暴力の告発が続いている。 その中で、作家のはあちゅう(伊藤春香)さんが、電通に勤務しているときに上司から苛烈なセクハラ・パワハラをされていたことを告発した。加害者は、はあちゅうさんを深夜に自宅に呼び出して「指導」の名目で繰り返し罵倒し、人格否定を行なった。また、はあちゅうさんの女性の友人を紹介させて性行為を行い、その友人を貶める発言をはあちゅうさんに

    性暴力被害者の告発をどう受け止めるのか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2017/12/21
    “「尾根に向かったこと」の責任は、被害者と支援者にあるとされる。自己責任の登山…誰も尾根に向かわなくなったとして、それは被害者と支援者が悪いのだろうか”
  • ネトフェミだったら何なの? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    ここのところ、ネットでは「久谷女子同人誌の件*1」と「ルミネCMの件」*2が話題になっていた。どちらも性に関するトラブルで、女性が告発している。 それらの出来事は、あるときは「フェミニストがわめいている」と言われ、あるときは「フェミニストはこの件は批判していない」と言われた。いつも通り、「世の中が悪いのはフェミニストのせいだ」と思っている人たちの発言がいくつも飛び交っていた。そして、ついには「騒いでいるのは<ネトフェミ>であり、<まっとうなフェミ>を毀損している」という主張まで飛び出した。以下である。 「ルミネCM炎上で見えた「ネトフェミ」とは?」 http://zeromoon0.hatenablog.jp/entry/2015/03/22/173113 上の記事のブックマークコメントでも言われているが、こうした「フェミ擁護」に見せかけた女性差別は繰り返し行われてきた。かつては「フェミ

    ネトフェミだったら何なの? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2015/03/24
    ″性差別・性暴力の告発がいつも正しいわけではない。批判を受けることもあれば、誤りや歪曲があることもある…私たちは、性差別や性暴力のある社会を生きていて、その告発はとても難しい。それだけのことだ”
  • 今年の十冊 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    今年はほとんど読書はしませんでした。博士論文を書き上げるまでは仕方ないかとは思いますが、ちょっと悲しい状況です。 藤岡淳子「非行・犯罪心理臨床におけるグループの活用: 治療教育の実践」 非行・犯罪心理臨床におけるグループの活用: 治療教育の実践 作者: 藤岡淳子出版社/メーカー: 誠信書房発売日: 2014/04/15メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る 今年は、島根あさひ社会復帰促進センター(PFI刑務所)を、講師として二度訪問しました。修復的司法の講義をしたあとにグループワークをしたり、性暴力プログラムに参加したりしています。藤岡さんのプログラムを進める中心メンバーで、刑務所での実践もこのでは報告されています。藤岡さんは一対一のカウンセリングではなく、同じ経験をしたメンバーが経験を共有していくグループでの教育を中心に据えています。「正しい教師」が教えるのではなく、

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  • 修復的「司法」なのか修復的「正義」なのか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    先日の研究会で私の研究は、修復的「司法」なのか修復的「正義」なのかで紛糾してしまいました。もともとは、restorative justiceという単語なのですが、訳語に議論があり、かつては「恢復的正義」なんて語もありました。とりあえず訳語を避けて、ここでは広い意味でのrestorative justiceを「RJ」と略して使います。 RJは1970年代より西欧先進国を中心に広まっていった概念です。ある時期から、それぞれの地域や共同体の中にある、近代刑事司法とは違うやり方で人間と人間のトラブルを解決する実践を、RJと総称するようになりました。 RJには統一した定義はありません。人工的な概念で、私たちの生活の中から生まれてきた言葉というよりは、「新しい紛争解決の方法に注目していこう」という動きの中で広められた言葉です。よく言えば柔軟だし、悪く言えば空虚です。 RJ概念が生まれてきた背景には、従

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  • 若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    久しぶりに映画館*1に足を運んだ。この数年、1960年代の回顧録や、団塊世代の自叙伝の発行が増えている。ひしひしと、この時代に青春を送った人たちの「語り残さねばならぬ」という気持ちが伝わってくる。一連の若者たちの革命運動へのコミットの中で、たくさんの人たちがゴミのように死んだ。そして、それはまだ、総括も自己批判もなされていない。私は、父や母ですら、団塊の次の世代である。まったくこの時代のことを知らないからこそ、興味を持ってきた。 というわけで、こまめにこの手の作品はチェックしているので観てきた。 3時間以上の長編だが、大まかに3部に構成されている。「1960年から1968年の学生運動」「連合赤軍の結成と展開」「あさま山荘での銃撃戦」の3部である。 1部の学生運動を概観していく映像は圧巻だった。当時を記録した白黒のフィルム映像による、国会突入や街頭での投石、バリケード封鎖という運動の過激化の

    若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 今年の五冊 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    今年は少なめです。 卯月妙子「人間仮免中」 人間仮免中 作者: 卯月妙子出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2012/05/18メディア: コミック購入: 18人 クリック: 430回この商品を含むブログ (159件) を見る 漫画ですが、今年、一番衝撃を受けたなので、あげておきます。 作者の卯月妙子さんは、統合失調症を抱えた女性です。漫画を描いたり、強烈なAVやストリッピショーに出演したり、劇団でお芝居をしたりしていました。恋人が投身して看護したものの亡くなったり、閉鎖病棟に入院したりしてきました。そして36歳のときに、25歳年上のボビーに出会います。ボビーも強烈なキャラクターで、酒に酔っては暴れます。この作品は、主に二人の関係が描かれました。 圧巻なのは、中盤の妄想を漫画にしたくだりです。卯月さんは、病気の悪化で、歩道橋から飛び降りて重傷を負います。その治療のために、一時的

    今年の五冊 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 生活保護とシングルマザー - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    現在、ある芸人の母親が生活保護を受けていた件が、マスメディアでもネットでも大きな話題になっている。問題となったのは、その芸人の母親が「不正受給」していたのではないかという疑惑が持ち上がったのだが、当事者の記者会見により、「不正受給」でないことは明らかになった。それでも、「生活保護の不正受給が多い」のだという一部政治家によるキャンペーンがはられ、生活保護費の減額や、扶養家族への(プライバシーの侵害につながることが懸念される)調査の厳格化が政策として提言されている。 今回の、一部政治家のキャンペーンでは、生活保護受給者の家族の扶養責任がやり玉に挙げられている。しかし、ツイッターなどで盛んに言われているように、原家族に暴力があるために、逃げる手段として生活保護が必要な人たちがいる。特に親からの虐待に苦しむ人にとって、家族から離れる手段として生活保護は大事なライフラインとなっている。もし一部政治

    生活保護とシングルマザー - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2012/05/29
    “同情も共感も後回しでいい…事情がどうあれ、生活保護を受給できるようにする…その人が、…母親失格と見えようとも、受給すればよい…同情や共感はできなくなる。それと、制度設計は関係がないとすればよい”
  • 「迷走する両立支援」2010 〜格差と少子化の国のワークライフバランスは、いま〜  - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    こんな電子書籍が発行されています。無料で読めます。 「迷走する両立支援」2010 〜格差と少子化の国のワークライフバランスは、いま〜 http://p.booklog.jp/book/40576 この電子書籍は、『迷走する両立支援』の作者である萩原久美子と、「イクメンプロジェクト」を推進してきた厚労省の山口正行の対談を記録したものです。 迷走する両立支援―いま、子どもをもって働くということ 作者: 萩原久美子出版社/メーカー: 太郎次郎社エディタス発売日: 2006/07メディア: 単行購入: 12人 クリック: 85回この商品を含むブログ (40件) を見るこうした対談は、出版社が販促として企画することが多いですが、これは読者の側からの発案で行われたものでした。電子書籍の前書きで、企画の中心となり、当日の対談の進行も務めた山口理栄は、初めてこのを読んだときに「仕事育児の両立支援と

    「迷走する両立支援」2010 〜格差と少子化の国のワークライフバランスは、いま〜  - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 今年の10冊 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    今年も大晦日に、「なんとかこれだけは書こう」と決意して、大急ぎでアップすることに。(今年発売した、という意味ではなく、今年の私の心に残ったという意味です) 大野更紗「困ってるひと」 困ってるひと 作者: 大野更紗出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2011/06/15メディア: 単行購入: 35人 クリック: 490回この商品を含むブログ (84件) を見る 今年の大ヒット作。大学院生だった大野さんが、突然の難病にかかり、生死の境をさまよいながら、生きていく術を身につけていく様子をつづったエッセイです。そして、大野さんが気付いたのは、難病患者は生きていくための社会制度が全く整えられていないということです。家族や友人に頼っていては、かれらが疲弊して潰れてしまう。だからこそ、国や地域の支援制度が必要なのだということを、命の危機に瀕しながらも理知的に解明していきます。それと同時に、大野さ

    今年の10冊 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
  • 「存在しない」サバイバー? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

    大野更紗がSYNODOS JOURNALで新しい連載を始めた。題名は「『存在しない』サバイバーたち」である。 「『存在しない』サバイバーたち ― セックス・労働・暴力のボーダーで(1)」 http://synodos.livedoor.biz/archives/1814449.html 大野さんは、先日、自身の難病にかかってからの経験をつづったエッセイ「困ってる人」を出版して話題になっている若手の執筆者である。 困ってるひと 作者: 大野更紗出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2011/06/15メディア: 単行購入: 35人 クリック: 490回この商品を含むブログ (84件) を見る私はこのエッセイを、webで連載しているときから愛読していたし、単行も購入した。「困ってる人」は、難病にかかった当事者の視点と、難病患者を取り巻く社会状況を同時に視野にいれながら、「人の生きづらさ」

    「存在しない」サバイバー? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)
    namawakari
    namawakari 2011/08/23
    人口に膾炙すると、元の文脈が忘れられて言葉が使用されることは、しばしばあること。こういうエントリは貴重。