世の中には、個人では対処できない問題がたくさんある。こういう問題を抱えている人たち、いわゆる社会的弱者とは限らない、を支えるのが、強制力、権力を持つ国家とある種の連帯意識や伝統に支えられた社会である。経済は基本的には交換、取引なので起こってしまった問題の解決にはあまり向いていない。 私の頭の中にあるイメージとしては、問題を抱えている人たちを大きな岩とすれば、この岩を国民国家と社会、二つの柱が下から支えている。経済は海の水のようなものだと言える。潮が満ち海水が柱頭を超えてくると、岩に浮力がかかり、二本の柱に係る重みは軽減される。ただ、岩の比重が海水のものより大きいので岩が見えなくなるほど水位が高くなっても、柱に係る重みは全くなくなるわけではない。 経済政策を考えるとき、国家や社会でしか対応できない問題があること、この二つの柱を健全に保つことが大事であることを意識する必要がある。社会政策を考え