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ブックマーク / yakumoizuru.hatenadiary.jp (11)

  • 寝転びながら『千のプラトーを読む』 01 - 作品メモランダム

    ドゥルーズとガタリの『千のプラトー――資主義と分裂症』が、このたび河出文庫に3分冊で収められることになった。訳者は、宇野邦一、小沢秋広、田中敏彦、豊崎光一、宮林寛、守中高明の6名。原書は1980年、翻訳書は1994年だから、刊行から30年、翻訳から16年を経た勘定である。私自身、このとは短くないつきあいだけれど、未だに「読めた」という気がしない。 いや、誰かも言っていたように、は読めないものだ。ある書物をどうしたら読み終えてしまうことなどできようか。もちろん、形の上では、最初のページから最後のページまで目を通すことはできる。しかし、それは果たして読み終えたことになるのか。つまり、もう二度とそのを読まずとも読み終えたということにしてしまえるということなのだろうか。そうとも言えない、と思う。 読み手も年々歳々さまざまな経験や読書を通じて、どんどん変化している。そのつど問題意識も違えば、

    寝転びながら『千のプラトーを読む』 01 - 作品メモランダム
  • 2010年上半期のあれこれ - 作品メモランダム

    ご無沙汰しております。 2010年の前半は、一橋大学大学院で、「新たなる百学連環――芸術篇」なる講義を担当しておりました。これは、前学期で担当した、哲学・思想篇の姉妹篇です。なにしろ、百学連環とは、学術全般を見渡そうという話なので、学術、つまり、学問と技芸術(Science and Art)の両方を視野に入れることになります。 とはいえ、私を同大学院にお呼びくださっている武村知子さんの采配で、たまさかそのようなことになっただけなのではありました。 さて、芸術篇では、作品そのものをとことん知覚する、ということを目標に掲げて、各種芸術作品に向き合い、自分が何を知覚したかということを観察し、できれば記述するという実践を兼ねた講義を目論んでみました。 そこで扱った題材は、ブルースとロックンロール(主にチャック・ベリー)、ソフォクレスの「オイディプス王」、夏目漱石「吾輩はである」、マルセル・デュシ

    2010年上半期のあれこれ - 作品メモランダム
  • twitter――脳内シャッフル革命/ポスト談話室滝沢 - 作品メモランダム

    twitter格的に使い始めてからというもの、それまで利用していたネット上の各種サーヴィス(ウェブサイト、ブログ、mixiなど)は、それまで以上に使わなくなりつつあります。1回140文字以内のつぶやきで、ぼそぼそと思いつきを述べることの、いったいどこが楽しいのかとは、しばし訊かれることでありますが、私にとっては主に二つの効用があります。 と、その前にtwitterの用語を二つほど解説しておく必要があります。 ・タイムライン(TL)――といっても、マイクル・クライトンの小説ではありません。twitterでは、既存のサーヴィスで言うところの自分のページ(mixiなら、自分のIDでログインしたときに表示される自分専用のページ)に該当するページには、「タイムライン」と呼ばれるものが表示されます。twitterでは、各ユーザーは、1回140文字(1バイト文字、2バイト文字を問わず140文字)以内

    twitter――脳内シャッフル革命/ポスト談話室滝沢 - 作品メモランダム
  • 作品メモランダム / スキと想像

    一分のスキもなく完成された、という絵ではない。むしろ、どの作品もどこか途中で筆を擱いた、という余韻のようなものが残っている。ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898)には、それでいて一度目にしたら忘れることのできない作品がいくつもある。 島根県立美術館、兵庫県立美術館の巡回を経て、目下、東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の展覧会「ギュスターヴ・モロー——フランス国立ギュスターヴ・モロー美術館所蔵」展を参観しながら、あらためてそう感じた。この展覧会では、ギリシア神話や聖書を好んで題材に選んだモローの作品や習作が280点近く出品されている。 忘れがたさという点でいえば、「オイディプスとスフィンクス(OEdipe et le Sphinx)」(1864)が筆頭にあがるのではないだろうか。今回の展覧会では作品そのもの(メトロポリタン美術館所蔵、右

  • 男と男のいる文学 - 作品メモランダム

    ベンチに腰掛けて読書をしていたら、だれかが私の肩をたたく。なんだろうと思って見ると、先ほどから隣に座っていた見知らぬ男性。「ちょっといいですか?」 それは、くっきりとした目鼻立ちをした青年で、灰色と碧色がまざりあったようなちょっと印象的な眼をしていた。「こんにちは」 いま起きようとしている事態に少し戸惑いながら挨拶をした。 「あの、それはギリシア語ではありませんか?」と青年が尋ねる。私はちょうど、ひざの上にのせたトランクを机がわりに、書物と辞書とノートを広げていた。書物は、青年が言うように(古典)ギリシア語で書かれたものだった。「そうです」と言って、を青年のほうへ差し出す。 「やっぱり!」 その顔がぱっと明るくなって、青年は身を乗り出してくる。彼とともに空気が動いて、やわらかな、香をたきしめたようなほのかな香りがする。「ぼくはギリシア人なんですよ」と言いながら、よく動く大きな眼で書物のペ

    男と男のいる文学 - 作品メモランダム
  • ■ - 作品メモランダム

    ★ヴィルヘルム・フォン・フンボルト『双数について』(村岡晋一訳、新書館、2006/09、ISBN:4403120180) 非母語を学ぶなかで、母語には見受けられない文法要素に出くわすと、奇異な感じを受けるということがしばしばある。 サンスクリット、アラビア語、ギリシア語、ヘブライ語などの言語に触れると、「双数」(両数とも訳される)というものと出会う。 双数とはなにか。英語の名詞には単数形と複数形といった「数」の要素がある。双数とはそうした「数」の一種で、対象がふたつの場合に用いられる形である。 たとえば古典ギリシア語の場合、双数は対になった対象に用いられる。古典ギリシア語のνεανιαςという単語(「若者」という意味の名詞)を例にとってみる。νεανιαςは単数(主格)だが、これが複数(主格)ではνεανιαιとなり、双数(主格・対格)ではνεανιαと形が変わるといった按配である。 なる

    ■ - 作品メモランダム
  • ■ - 作品メモランダム

    ★アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵里訳、白水社、2006/09、ISBN:4560027544) Azar Nafisi, Reading Lolita in Tehran: A Memoir in Books 以下の文章は、アーザル・ナフィーシーによる回想録『テヘランでロリータを読む』(市川恵里訳、白水社、2006/09、ISBN:4560027544)のパイロット版プレゼントに応募をしたさい、頒けていただく条件として白水社に提出したものです。という事情はどちらでもよろしいのですが、小説を読むということについて、たいへん考えさせられるところの多い書物でしたので、紹介がてら拙文を転載いたします。これは、全四部からなる書物のうち第二部を読んで書いたものです。 日では、このようなパイロット版の先行配布ということをどの程度行っているのかわかりませんが、同様の試みが増え

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    namgen
    namgen 2006/09/11
  • ■ - 作品メモランダム

    ★亀山郁夫『大審問官スターリン』(小学館、2006/02/20、ISBN:4093875278) 仮に、これまで地上に生まれて死んでいった人びと、生きている人びとの経験の総体というものを想像できるとしてみよう。そこには無数の「藪の中」のような状況がある。「藪の中」とはご存じ、芥川龍之介の作品。「同じ」出来事をめぐる複数の関係者の証言が異なりい違うという状況を描いた作品だが、すべての人びとの経験の総体というものを想像するとき、そこにはどうしたってあれこれの藪が生じるにちがいない。 亀山郁夫(かめやま・いくお, 1949- )氏による一連のソヴィエト政治文化史誌の労作に触れるつど、この藪の存在をあらためて思い出させられる。歴史は相対的なものだといった次元の話ではない。史料の博捜と、より確かであると考えられる事柄の吟味選別を経た「事実」の集積は、おのずと藪を形成するのだ。この藪とどう対峙する

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    ★マルセル・プルースト『失われた時を求めて1 第一篇 スワン家の方へI』(鈴木道彦訳、集英社文庫ヘリテージシリーズ、集英社、2006/03、ISBN:4087610209) Marcel Proust, À la recherche du temps perdu マルセル・プルースト(Marcel Proust, 1871-1922)による小説『失われた時を求めて』の鈴木道彦個人全訳の文庫化がはじまった。親は1996年から2001年にかけて集英社から刊行された13巻(11.5Kg)。今回の文庫も全13巻で、親と対応している模様。訳者によると文庫化にあたって訳文をさらに彫琢しているとのこと。 またこの機会に、私はあらためて全体にわたりフランス語原文と照合して翻訳に手を加え、不備を正し、訳文を整えるとともに、訳注もすべて見直した。おそらくこのような全面的な改訳は、これが最後の機会になるだ

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    拙サイト「哲学の劇場」のリニューアル作業中です。既存のページを整理して新たな要素を追加していく予定です。 黒地に白文字の「目に厳しい」と言われてきたデザインも、がらりと反転です。 まだ全面的に更新するにはいたっていませんが、とりあえず新たに作ったページをお知らせします。作業が完了するまで、あちこちにリンク切れが生じるかと思いますがご了承ください :-) ★哲学の劇場 > 作品 > ジョン・サール『MiND——心の哲学』サポートページ http://www.logico-philosophicus.net/works/002_Mind.htm 先日、刊行した拙訳書のサポートページを開設しました。 ★哲学の劇場 > 作家の肖像 > ジョン・サール http://www.logico-philosophicus.net/profile/SearleJohnR.htm サールの簡単な書誌をまとめま

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    namgen
    namgen 2006/03/22
    リニューアル
  • 作品メモランダム - 骰子の7の目

    ★『シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7の目』(河出書房新社) 今年、創業120周年を迎えるという河出書房新社が120周年を記念した出版プロジェクトを発表している。 その第一弾は、「骰子の7の目」*1の増補新版。叢書名「シュルレアリスムと画家叢書」と題されており、シュルレアリスムの画家たちを一人一冊で解説したもの。もともと、1973年から1978年にかけて刊行された全11巻+別巻1のうち、今回の増補新版では、6巻を選び再編集しているとのこと。 叢書全体の編者は、ジャン・ソセ。日語版の監修は瀧口修造。彼が同叢書に寄せた文章は、今日、『コレクション瀧口修造 第3巻』(みすず書房、1996)に収録されている。 以下は、前回刊行されたヴァージョンのリスト。末尾に「*」を付した巻が今回増補版として刊行される書目。 ★ルネ・パスロン『第01巻 ルネ・マグリット』(巌谷国士訳、1973)* ★サラーヌ

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