「人を殺してみたかった」という少年たちの深層に迫る 世間を震撼させた神戸連続児童殺傷事件から既に20年が過ぎたという。その後も今日に至るまで、少年少女による残虐な殺傷事件は後を絶たない。しかもその動機や背景が判然としないことが多い。「人を殺してみたかった」ともらす加害者の少年たちの心に何が起こっているのか。中日新聞に2017年3月から1年間にわたって長期連載された記事をまとめた一冊だが、そこから示唆される時代の病巣は根深い。 『少年と罪――事件は何を問いかけるのか』(中日新聞社会部 編 ヘウレーカ) 神戸の事件で「酒鬼薔薇聖斗」の名で新聞社に犯行声明を送った「少年A」をカリスマ視する少年少女がたくさんいる。 現在、孤独死や児童虐待を取材する35歳のフリーライターの女性もその一人だった。中学時代引きこもりで、当時自分と同じ14歳の「少年A」が逮捕されたとき、「やってくれた」と快哉を叫んだとい