「新しい料理法の発見は、人類の幸せにとって新しい星の発見以上の貢献である」 19世紀フランスの美食家ブリア・サヴァランのこの有名な言葉が真だとすれば、今、人類への最大の貢献をしている人物が日本にいる。 東京・飯田橋にあるレストラン「INUA(イヌア)」のシェフ、トーマス・フレベルその人だ。 およそ美食に関心があるなら、デンマークで北欧キュイジーヌの旋風を巻き起こした「noma」とそのオーナーシェフであるレネ・レゼピの名を知らぬはずはない。レゼピは「新しい北欧料理のためのマニフェスト」を掲げて地産地消と新食材の開発を徹底して行い、高い思想性を帯びた斬新な料理で注目を集めた。ローカル食材を積極的に使うことで地元経済に好循環を及ぼし、世界中から「noma」で食事をするためにコペンハーゲンに足を運ぶ人々を集めたことで、米国のタイム誌が「ノマノミクス」という造語を作ったほどだ。 そんな伝説級のレスト