昔から手が小さかった。 大好きだったおじいちゃんは「それがいいところだよ」って言ってくれたけど、時が経つにつれて自分が劣っていることを実感した。 同じようにすくおうとしても手が小さいからなかなかうまくいかない。 一生懸命広げようとしても何故か小さいまま。 なんでこんな手に生まれたんだろう。 普通じゃないことがどうしてこれほど辛いのだろう。 楽しく振る舞って笑顔を作るたびに心の奥が痛む。 本当はこんなんじゃないんだ。 明るく振る舞っているのは、手が小さいことがバレて居場所がなくならないように必死で演じてるだけなんだ。 それがどんどん自分を追い込むとわかっていても、そうすることでしか自分を維持することが出来なかったんだ。 わからないだろう、この辛さが。 周りよりも劣っている自分を受け止める辛さが。 そんなことたいしたことじゃないって言われても何一つ響かない。 男のくせにって言われても腹が立つだ