フィールドワークの基本 フィールドワークとは社会科学において、フィールド=現場から観察や実測によってデータを集める手法である。建築学だけではなく、社会学や人類学などでも使われる。観察や実測は自然科学の基本でもあるが、物質の動きや働きを対象とする自然科学に対して、社会科学の対象は人間の行動によるもの、人々がつくり出した空間と環境やそこでの人々の行動、その背後にある制度である。建築学のフィールドワークでは、民家の平面、街並みの立面、住宅の住まい方、建築内部の人の行動、都市空間に佇む人の風俗......といったさまざまなものが対象である。 建築学は建築や都市をつくる学であるから、そこから建築や都市の設計の方法を帰納的に導き出すことがフィールドワークの目的である。フィールドは人々がつくり出してしまった自生的な建築や都市空間で溢れており、そこから設計に活かせる知恵を引っ張り出すということだ。しかし、