本展は、手わざを生かした明治、大正時代の敷瓦や陶磁板などを紹介することによって、100年前に起きた「タイル」の変革と、その序章(プロローグ)に焦点をあてる企画展です。 1922年4月12日、平和記念東京博覧会の会場で開催された全国タイル業者大会において、様々な呼称が付されていた建築を被覆するやきものが、「タイル」と呼ばれることになりました。2022年はその年からちょうど100年にあたります。この出来事は、単なる名称の統一にとどまらず、手工芸的な位置づけで作られてきた様々な陶磁器製の建築装飾が、工業的な基準をもつ「タイル」へと転換していったことを表す、タイル業界における大きな事件でした。 殖産興業を推進する明治政府は、万国博覧会に掛軸や障屏画同様の繊細な絵付けを施した陶磁器を出品して好評を得ました。瀬戸と美濃で製造されたゆがみのない陶磁板はその技術力の高さを感じさせます。ドイツ人のワグネルが