岡部晋典『才能を引き出した情報空間:トップランナーの図書館活用術』勉誠出版, 2017. 献本御礼。というか、もらっておいてお礼の連絡もせず四カ月も放置していてすいません。以前、著者と会う機会があったときに本書の企画を聞かせてもらったことがあるのだが、同席した知人は「図書館の理解者による図書館礼賛本じゃないの?」とその意義に否定的だった、著者を目の前にして。僕らのように量的研究をやっていると「個人のエピソード」に対して懐疑的になってしまうというところはある。だが、著者による終章によれば、このような質的調査に挑んだのは「敢えて」とのこと。 読んでみると単純な図書館礼賛本ではないことがわかる。結果として図書館を肯定する発言は多くなっているものの、まずは著者の言う「トップランナー」たちがどのように知的な経験を積んできたか、キャリアを形成する上でどのように情報収集してきたかを明るみにするというコン
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