「あなたが日本の大企業に勤めていたら、今頃離婚していたと思う」 ある晩妻とワインを飲みながら話していたら、不意にそんなことを言われて驚いた。幸い、私は新卒の頃から外資系企業に務め、現在はアメリカの現地企業に勤めているので、離婚を免れることはできそうだ。妻曰く、私が日本の大企業に勤めていたら、そこでやりがいをそれなりに見つけ、成果もそれなりにあげて、出世もそれなりにして、気付いたらその価値観に染まっていただろうという。就職活動で日本の大企業と外資系企業の両方を見て、外資系のコンサルティング会社に勤めるというのは、私の価値観に従ってしたものだったんだから、妻が言うようにはならないよ、とその時は言った。が、口ではそう言いながらも、何となく妻が言う通りになっていただろうなと正直思った。 私は「出世」にあまり興味がない。若い頃はお金もなかったので、昇進をして給料をもっと得たいという欲はあった。が、あ