先週、8月17日(木)に河合隼雄文化庁長官が、奈良の自宅で脳梗塞で倒れたとのニュースが流れた。肺炎を併発し、重体。翌日には、小康状態との報道が続いたが、その後は、何も伝えられず、気がかりだ。 私は高校生の頃から心理学に興味があり、ずいぶん本も読んだが、一番多かったのは、河合長官の著作である。軽妙な語り口で、読むものを惹きつけてやまない。 河合氏は最初から心理学者を志していたわけではなく、京大の数学科を出て一時は高校の数学の教師をしている。その後、京大大学院で心理学を学び、米国留学の後、スイスのユング研究所で学んでいる。日本に戻り、京大で教鞭をとるかたわら、心理療法家として臨床治療も行い、その経験が著作の中にも反映されている。 私が、好きな本は何冊かあるが、特に、印象に残っているものに、『大人になることのむずかしさ』(河合隼雄著、岩波書店、1983年、1996年に新装版として再版)という著書