人間関係が希薄で、孤独死が増えている――。こうした日本社会の問題点をリポートするNHKのドキュメンタリー企画「無縁社会」。現場を取材した池田誠一記者は、無縁化する社会を見て、どのように感じたのだろうか。2010年9月に放送された『消えた高齢者 “無縁社会”の闇』の取材に携わったときのエピソードを語ってもらった。 私は厚生労働省の記者クラブに席を置き、介護や医療、生活保護などの問題を取材している。2010年の1月末に、NHKスペシャルで『無縁社会~“無縁死” 3万2千人の衝撃~』といったタイトルで放送し、多くの人から反響をいただいた。この番組では会社を退職し仕事を失えば組織とのつながりを失ってしまうこと、地域のつながりが希薄していること、家族との関係が変化していること、こうして人がどんどん孤立化している現状を取り上げた。そして最終的には孤立し、死んでいく……。番組では「無縁死する人がいる」と