この20年、日本人の多くが、中国に対する誤った想念に衝き動かされてきた。今回の尖閣危機を契機に、日本はチャイナ・リスクを強く再認識し、実効支配強化へ向けた計画と備えを行うとともに、安全保障体制の強化が必要だ。 日中間の目下の尖閣危機について奇妙なことが起こっている。それはあの激発的な反日暴動が中国全土で荒れ狂った直後から、日本国内で「折角、現状凍結で棚上げされてきた尖閣問題だったのに、日本政府が9月11日に行った国有化の決定が今回の大きな騒動を引き起こしたのだ」という見方がマスコミでも広く流布され始めたことだ。中国政府も同様のことを言っているが、これは明らかに事実に反している。 たとえばここに今年の3月17日付の新聞報道がある(『産経新聞』同日)。それによると前日の3月16日、尖閣諸島の久場島沖で中国の国家海洋局所属の大型で最新鋭の海洋監視船「海監50」と他1隻の中国の公船が日本の領海内を