E邸が立つのは山の手線の駅から歩いて10分ほどの住宅地。奥さんが「すごく細長くて猫の額のようなスペース」と表現する敷地には、不動産会社によって家の参考プランが用意されていた。 その参考プランは、前に駐車スペース、後ろに裏庭があり真ん中に2階建ての家が配置された、奥さん曰く、「東京都内で一軒家が持てて、さらに駐車場も庭も持てますよっていう」素人でも考えつくようなごく当たり前のものだった。 3階奥のダイニングペース。建物が建て込んだ場所ながら緑に囲まれて暮らす。ガラス窓を開けると外部と一体化。街の真ん中で実現した開放感のある住まいだ。 建築家に、この敷地で「何か面白いものが考えられますか?」と投げかけてみたところ、建築家は現地を確認して、この敷地は面白い、と思ったという。 彼がまず注目したのは隣地の奥の角にある立派なコブシの木。江戸時代の木で樹齢270年だった。さらにそのまた隣に公園もあって環