――虐待の現場から救い出された子どもたちの“その後”に密着 長崎県中央部にある大村湾。コバルトブルーの美しい海を一望できる坂道を車で通るたび、その風景に心を奪われるものの、私たち取材班にそれを楽しむ余裕はない。目指す施設が目前に迫っているからだ。饒舌だったカメラマンが押し黙り、緊張の表情が伺える。いったい今日は、何が私たちを待ち受けているのだろうか・・・。 親から子どもへの虐待。近年、子どもが命を奪われる悲惨なニュースは後を絶たず、児童相談所へ寄せられる報告件数も年々増加している。その数は昨年4万件にのぼった。「いったいこの国はどうなっちまったんだ」と憤る方たちも多いと思うが、一方で救い出された子どもたちがどこでどんな思いをしながら生きているのか、皆さんはご存じだろうか。恥ずかしながら私も少し前まではほとんど知らなかった。そんな私が虐待を受けた子どもたちの取材を始めたきっかけは一年前、不