小生がまだ経済学部の学生であった頃、ガルブレイスと言えば結構著名な学者であった。ガ氏の『豊かな社会(Affluent Society)』は一世を風靡したし、消費者の選択が民間企業の宣伝・CMに歪められてしまうという「依存効果」は同氏によって学術用語となり、世間でもとても重宝に使われる言葉になった。ところが、いまガルブレイスの学術的業績を引用するアカデミックな論文はほとんどない ― 小生の不勉強かもしれないが、実際そんな印象を受けている。 多くの人が思わず「そうだよネ」と納得する「学術的説明」が、実は「観察日記」と同レベルの「ジャーナリズム」であり、真のリアリティを解明したものではない例は大変多い。 古くは古代の大哲学者アリストテレスが説明した「重いものは軽いものより速く地面に落下する ≒ 2倍の重さをもった物体は2倍の速さで地面に落ちる」。この説明ももっともらしい学説だった。ガリレオが主張