1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)であった一家4人強盗殺人事件で、凶器を売った店とされた沼津市の「菊光(きくみつ)刃物店」が13日、犯人として死刑囚となった袴田巌さん(88)の再審無罪確定を受け、看板を外した。一審では3代目の高橋国明さん(74)=群馬県板倉町=の亡き母みどりさんの証言が有罪の証拠の一つとされた。みどりさんは後に証言を誤りと認め、晩年は気に病み続けた。高橋さんは13年前の廃業後も「事件は続いている」と看板を掲げ続け、この日、区切りを付けた。(山本真嗣)
1966年6月30日、静岡県清水市(現静岡市)の味噌(みそ)製造会社の専務の家が全焼、焼け跡から一家4人の他殺体が見つかり、当時その従業員であった袴田巖に冤罪(えんざい)が着せられた。 本書を読み改めて感じたことは、冤罪事件の性格は各々(おのおの)異なっていても、冤罪のつくり出され方には共通点が多いということである。「自白」のあとに供述に沿って証拠なるものが発見される。まさしく“予断と偏見”によって犯人と思(おぼ)しき人物をつくり出し、長期間の勾留による取り調べで反論の余地なく「自白」を引き出すやり口である。犯人をつくり出す際に標的とされるのは、布川事件の桜井昌司が事件当時「不良」と目され、狭山事件の石川一雄が被差別部落住民であるように、社会的“弱者”が狙い撃ちにされてきた。袴田もまた「ボクサーくずれ」とみなされたことが大きく影響していた。 本書の最大の意義は、事件発生から逮捕、そして「自
本件について再審開始を決定した令和5年3月の東京高裁決定には、重大な事実誤認があると考えましたが、憲法違反等刑事訴訟法が定める上告理由が見当たらない以上、特別抗告を行うことは相当ではないと判断しました。他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。そして、袴田さんが相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも配意し、迅速な訴訟遂行に努めるとともに、客観性の高い証拠を中心に据え、主張立証を尽くしてまいりました。
<ミャンマーの声> ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが迫害を受け、隣国バングラデシュへの大規模な難民が発生してから7年が過ぎた。ミャンマーでは3年半前の軍事クーデター後、内戦が激化。ロヒンギャが「人間の盾」に利用されているという証言が出ている。8月に起きたバングラデシュの政変の影響を含め、ロヒンギャ問題はどこへ向かうのか。(北川成史) ロヒンギャ 仏教徒が9割とされるミャンマーでラカイン州を中心に暮らすベンガル系のイスラム教徒。多くが不法移民扱いされ、無国籍状態に。2017年8月25日、同州でロヒンギャの武装勢力と国軍など治安部隊が衝突。治安部隊や一部のラカイン人から殺人や性暴力を含む迫害を受けたロヒンギャらがバングラデシュに逃れ、100万人規模の難民となっている。一方でラカイン州には現在も約60万人が残っているとみられる。
埼玉県川口市周辺で暮らすクルド人に向けたヘイトスピーチを巡り、日弁連が26日夜、東京都内で緊急集会を開いた。オンラインを含めて約350人が傍聴。クルド人や支援者らが登壇し、現状報告した。川口でヘイトスピーチが深刻化する中、現場で立ち向かう人たちは何を訴えたのか。(森本智之)
機械輸出を巡る冤罪(えんざい)事件に巻き込まれた機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが国と東京都に損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審は、元取締役に対する警視庁公安部の取り調べの違法性が争点の一つだ。一審の東京地裁判決は、人を欺く「偽計」を用いて供述調書を作成したなどとして、一部を違法と認定した。どのような状況だったのか。元取締役に聞きながら、取り調べの在り方を考えた。(山田雄之) 大川原化工機を巡る冤罪事件 警視庁公安部が2020年3月、国の許可を得ずに噴霧乾燥機を中国に輸出したとする外為法違反容疑で大川原正明社長や島田さんら3人を逮捕し、東京地検が起訴したが、21年7月に取り消した。1年近く身体拘束された社長らが逮捕・起訴は違法として東京地裁に起こした国家賠償訴訟の証人尋問で、捜査担当の警察官が事件を「捏造(ねつぞう)」と証言。昨年12月の地裁判決は捜査の違法性を認め、国と都に賠
8日午後10時、肌にまとわりつくように蒸し暑い。大久保公園周辺に何十人もの女性が立つ。そばで男性たちが彼女たちを見定めるようにたむろしていた。辺りでは売春行為が頻発している。長く学校が休みのこの時期、若者が犯罪に巻き込まれる恐れも高まる。 「お水いかがですか」「スマホの充電に来てください」。女性たちに声をかけた。幾人かには駆け込み寺を紹介できたが、目をそらされることも。相談員の清水葵さん(25)は「家出した人がいることもある。支援につなげサポートするためにも、私たちをまず知ってもらうことが大切」と話す。
およそ悲報は突然届く。精神障害者の当事者団体である全国「精神病」者集団元事務局長で、精神障害者権利主張センター・絆を主宰した山本真理(筆名・長野英子)さんが亡くなった(享年71)。
毎週土曜の昼過ぎ、東京都庁前にはとてつもなく長い行列ができる。認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)などが開く無料の食品配布会。「ありがたい」「ここがあってよかった」。物価高が続く中、みな安堵(あんど)の表情で米や果物が入った袋を受け取っていく。 ここに通い始めた2019年は、100人以下の列だった。それが新型コロナウイルス禍に見舞われ、仕事や住まいを失う人が増えて利用者が急増。コロナの5類移行から1年以上たつが、最近も700人前後で推移し、今年5月下旬には過去最多の800人が訪れた。08年のリーマン・ショック後、日比谷公園に設けられた「年越し派遣村」の約500人も大きく上回る。 利用者の様相も多様化した。以前は路上生活などの中高年男性がほとんどだったが、コロナ後はアルバイトを掛け持ちする若者や、足を引きずって歩く高齢者、赤ちゃんを抱っこする女性も来ている。それぞれが
YOASOBIのAyase、米津玄師、Ado-。歌声合成ソフト、ボーカロイドで楽曲を作ったり、歌ったりしていたアーティストが音楽シーンの主流に躍り出てきた。彼らを育んだのが、楽曲の受け手と送り手がインターネット上で共感し合う「ボカロ文化」。ボーカロイドの一つ「初音ミク」を開発したクリプトン・フューチャー・メディア社(札幌市)の伊藤博之社長(59)に、ボカロ文化からビッグアーティストが生まれた背景を聞いた。 (川上義則) 伊藤さんは、ボーカロイドを「歌声を奏でる楽器」と位置づけ、1970年前後のフォークギターに重ねる。「ギターをかき鳴らし、若者の気持ちを歌ったフォークソングのムーブメントから吉田拓郎や泉谷しげるらの才能が開花した」。ボカロ文化で育ったアーティストの活躍は、この現象に似ているという。 2007年8月に初音ミクのソフトが登場、歌えなくてもコンピューターで楽曲を完成できるようになる
交流サイト(SNS)で殺人事件の遺族を傷つける投稿を繰り返したとして3日に裁判官を罷免された岡口基一(きいち)元判事(58)が4日、法律資格試験の受験指導をする「伊藤塾」(東京・渋谷)の専任講師に就任した。塾が明らかにした。民事訴訟に長く携わった経験を生かし、裁判実務や知的財産法などを教える。 岡口氏は1994年に任官。水戸地裁や東京高裁の判事などを歴任する傍ら、民事訴訟の実務などに関する著書を複数執筆し、特に「要件事実マニュアル」は司法試験の受験生だけでなく、若手裁判官や弁護士に広く読まれているという。2008年ごろからツイッター(現X)などで法律関連の投稿を始めたが、自身の下着姿の写真を載せるなどして物議をかもした。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く