人間はどこまで高く昇ることができるか。その答えは未だ出ていません。緻密な計算と測定を行い、「これが人間の限界だ」と定義づけても、そのたびに登山家たち自身の挑戦によって否定されてきた経緯があるからです。 例えば、世界最高峰として名高いエベレスト山、チベット名チョモランマ(標高8850メートル)は、かつて頂上が人間の生存限界を越えるとして、「無酸素での登頂は無理」とされてきました。しかし、実際には、30人前後の人々が、無酸素での登頂を成し遂げています。 標高2000メートルを超え始めると、人間は高山病の症状を表し始めます。頭痛がし、吐き気をもよおし、運動能力が極端に落ち、時に心筋梗塞や脳血栓などの症状を引き起こして死に至ります。 古代の人々は、これを「神々の領域に、無闇に足を踏み入れたため」と考えました。ギリシャ神話の神々も、オリュンポスの山々の頂上に神殿を建てて棲んでいることになってい