東日本大震災によってこれまでの問題が浮き彫りになったこともある。円高と電力問題だ。 まず、円高について、マスコミなどでは大震災後は猛烈な円安になるとかいわれたが、そうなっていない。 また、大震災でサプライチェーンが崩壊して輸出が大幅減になって貿易赤字になった。貿易赤字は円安を招くとかいう人も多かったが、そうなっていない。 数日間から数週間の為替の動きを予測するのは至難の業だが、数カ月から数年のスパンで見ると、経済理論によって6〜8割程度を説明できる。それは、かつて若かりし頃の白川方明日銀総裁が日本に紹介したマネタリーアプローチだ。 といっても難しくない。例えば、円ドルレートは、二国の通貨の交換比率なので、両国の金融政策によって決まる。具体的には、円とドルの相対量が重要で、相対的に少ない通貨は希少価値が出て、高くなるという話だ。ドルが増えているときに、円が増えなければ、円高になる。