2014年04月30日00:25 カテゴリ本 産業革命は「消費革命」だった 世界史で教わる「産業革命」は、最近は評判が悪い。本書のタイトルも産業革命だが、教科書的な説明を数量経済史のデータでことごとく反証している。イギリス資本主義のエンジンになったのは18世紀の産業革命ではなく、17世紀の植民地経営の成功だった。その主役は勤勉なプロテスタントの資本家ではなく、海外でもうけたジェントルマンだった。 そして本書の最大の特徴は、従来の「ものづくり」史観を否定し、イギリス資本主義を育てたのは消費者だったとしていることだ。マルクス以来、当時の労働者は「生存最低水準」で労働力を再生産する賃金しかもらえなかったことになっているが、図のように18世紀のロンドンの賃金は生活費の4倍以上で、しかも急速に上がった。マルクスの「窮乏化論」による革命が挫折したのは当然だった。 農村から都市に出てきた労働者は、消費者