5月は「マイホーム」という言葉が幻想であることを確認させられる。固定資産税という「市町村への家賃」を求められる月だからだ。すでに納税通知が来て、高額の負担に閉口している人も多いだろう。 住んでいればまだいい。少子高齢化で過疎化に拍車がかかる地方では、買い手も借り手もつかないのに、固定資産税のおかげで「マイナス」の土地や建物が増えている。朝日新聞経済部が紙面連載をベースにまとめ、筆者も執筆者の1人として名を連ねる『ルポ 税金地獄』で指摘している問題点の1つが、市町村税収の半分を占める不動産への課税だ。 子々孫々まで続く「死亡者課税」 ある日突然、地方の役場から、見たこともない土地の固定資産税を払うよう求められるケースがある。土地の持ち主が死亡し、登記を変えずに放置していると、その子孫係累にまで固定資産税の請求書が届くのだ。これを「死亡者課税」という。 2013年、大阪府の男性会社員(当時59