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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (11)

  • 10ドルの大量破壊兵器「AK-47」がもたらした世界

    「こうと分かっていれば、自分は時計職人にでもなるべきだった」 アインシュタインのこの言葉を思い出す。自分の研究の"成果"である原子爆弾がもたらした惨事を知ったときのセリフだ。ミハイル・カラシニコフは、自分がつくったAK-47について、こう語っている。 「わたしは自分の発明を誇りに思っている。しかし、それがテロリストたちに使われているのが哀しい。人びとが使えて、農民の助けになるような機械を発明すればよかった。たとえば芝刈り機のようなものを」 単純な構造のため誰でも扱え、めったに故障せず、きわめて安価なアサルト・ライフルAK-47。この突撃銃は、戦争の形態から世界のパワーバランスまで変えてきた。累計一億挺以上つくられてきたAKの構造と、世界に蔓延していく様を、(悪い意味での)ジャーナリスティックに描いている。「アフリカクレジットカード」と呼ばれるほどコモディティ化しており、人類史上最も人を殺

    10ドルの大量破壊兵器「AK-47」がもたらした世界
  • 生きてる人、いますか? 「CROSS†CHANNEL」(18禁)

  • 手乗りタイガーは俺の嫁「とらドラ!」

    こんなところに俺の嫁が。 ちっちゃくって、気性が荒くて、信じがたいほどドジで、そして自分のドジさを恥じて、落ち込んで、すぐ泣いて── おいしいものや甘いものに目がなくて、すごくヘンで、はた迷惑で、困った奴。 怒りオーラを全開させるとスーパーサイヤ人と同等の殺気を放ち、罵倒文句のバリエーションはツンデレ女王いおりんに匹敵する。まさに無敵―― ちっこいけど。 見事にツボにハマった。見かけは怖いけれど優しい男の子と、見かけは可愛いのに凶暴な女の子がくりだす、手に汗握る若葉マークが初々しい超弩級ラブコメを読んだのだ。 ああ~これこれ~わかるわぁ~、終始ニヤニヤしっぱなし、頬が熱い。ほっぺたが流れ出るのを止められない、電車なのに。薄気味悪いリーマンでサーセン。思春期特有の自意識やコンプレックスがリアルに「お約束展開」へとろけており、もどかしいったらありゃしない。もちろん、あんな出来事やこーんな出会い

    手乗りタイガーは俺の嫁「とらドラ!」
  • 数式なしでわかった気になれる「ゲーデルの哲学」

    岩波文庫で撃沈したが、書から攻めたらすんなり入れた。数式を使わずアナロジーを用いることで、不完全性定理のイメージを上手く伝えている。同時にゲーデルの生涯を追いながら、不完全性定理の哲学的帰結までたどっている。 哲学的帰結は以下のとおり。 全数学を論理学に還元することは不可能である 全数学を公理化することも不可能である この完全な理解にはほど遠いものの、感覚的に分かった。おかげで、あれほど確固なものだった「数学」が、実は「信念」を積み重ねた楼閣に見えてしようがない。わたしは、「数」を信じるように、不完全性定理を信じる。 ■01 受験数学の呪い 「要するにどういうことか」は、理解をすッ飛ばして記憶した。数学は暗記科目――受験数学の呪いは骨の髄まで浸透している。公理と定理を暗記して、adaption パターンを習得するのが「数学」だと思い込んでいた。 そこには、自ら定理を導出する喜びや、新たな

    数式なしでわかった気になれる「ゲーデルの哲学」
  • 最近のイチオシ「付喪堂骨董店」

    わたしの2倍読んでいるくせに、めったに誉めない嫁さんが「面白いよ」と寄越したのがこれ。おかげで幸せな1時間を過ごせた。げに悦ばしきは読書家の嫁なり。 ラノベといえば超自然か学園モノが相場なのに、これは骨董店が舞台。ユニークかもーと読み進める。どうやらこの店は、いわくつきの偽物を扱っているらしい。『偽物』なのがポイントで、幸運を呼ぶ石だの、呪いのお守りのFAKEが表の看板。 ニセモノがあるから、ホンモノもある。 たとえば、書いたことを完璧に記憶できるノート(物)や、宵越しの現金を消してしまう財布(物)が出てくる。「アンティーク」と言うんだそうな。ただし、そんな不思議アイテムがメインではなく、それに翻弄される人が見どころ。演出のための叙述系な仕掛けも利いている(シロウトの手品みたくて良い)。amazonレビューはこんなカンジ この世界には『アンティーク』と呼ばれる物がある。年代物の骨董品や

    最近のイチオシ「付喪堂骨董店」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「ローマ人の物語」をわたしが知らの専門家はどう評価しているのか?

    「ローマ人の物語」を10倍楽しく読む方法シリーズっ(実は続いている)。 「ローマ人」ツッコミどころ多すぎー、塩野節がイイ感じを醸しだしているんだけど、調子っぱずれなトコは耳に障る。「面白ければ、それでいい」というスタンスでヘンなところは嘲笑(わら)って読み流してる。 しかし、物語のくせに「これこそ事実だ」的な断言口調や、根拠レスで歴史家をけちょんけちょんに貶すのはいかがなものかと―― 心配するのは余計なお世話? 【問】 歴史の専門家は、「ローマ人の物語」をどのように評価しているのか? あるいは黙殺しているのか? それとも目の敵にしているのかね? ここでいう専門家とは、学術的な権威の裏付けを持つ人で、一般に教授とか呼ばれている人々。図書館のレファレンスサービスで調べてもらったのだが、クリティカルな回答を得られたので紹介する。カンタンに言うと、【答】 黙って言わせときゃいい気になって!「聞き捨

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「ローマ人の物語」をわたしが知らの専門家はどう評価しているのか?
  • 嘘つきとヤンデレの純愛「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」

    ヘヴィノベルだ、これっぽっちも light じゃない。が、面白さも重たい。するりと読めてガッチリと掴み取られる、まーちゃん(表紙)に。彼女のヤンデレは狂気の域に達しており、小学生兄妹を拉致って監禁している。 いっぽう、語りべのみーくんは嘘つき。口ぐせは「嘘だけど」。地の文に紛れ込むモノローグでも嘘をつく。こっちはそこを織り込んで読むのだが、ラストの「幸せの背景は不幸」のくだりでやられた!おもわず天を仰ぐ。「幸せの背景は不幸」―― これがサブタイトルに入っているのを読了後に知って、もう一度空を見る。 さらに、 一行目を読んだ瞬間、物語の二重底に気づく。ミエミエ、と思ってたら実は三重底。まーちゃんのヤンデレと、みーくんの口ぐせ「嘘だけど」が効いている。この仕掛け、上手に騙されましたな。ラノベだと舐めてかかって一背負いを喰らった。でも気持ちいい。 「まーちゃん」 マユの髪を指で梳きながら、諦め

    嘘つきとヤンデレの純愛「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」
  • 劇薬本「子どものねだん」で知る児童買春地獄

    掛け値なしの劇薬、まじめに読むほど気分が悪くなること必至。最悪なことに、こいつがフィクションでないことを意識して読まされる。ふつうの人は読んではいけません。 「赤ちゃんの値段」があるぐらいだから、「子どもの値段」もあるだろうという安易な発想から見つけたのだが、これがスゴい。ヒドい。「人をモノのように扱う」は比喩だというヌルい感覚は吹き飛ばされる。言葉そのままの意味で「モノ以下」。子どもにとっては地獄そのもの。書をタネとした「闇の子供たち」の方が、フィクションである分、ある種の「安心感」をもって読めたが、これはそれを許さない。 「小さな穴」を求めるオトナにとって、子どもの性別は関係ない。従順で、好きに扱え(暴力を含む)、未発達であるがゆえに締まりが良い穴であれば、関係ないのだ。自由を奪われ、ろくな事を与えられず、暴行・暴行・暴行。そして、ちょっと言い表せないような性行為を強要される。H

    劇薬本「子どものねだん」で知る児童買春地獄
  • 最もオライリー本っぽくない「アンビエント・ファインダビリティ」には、たくさん考えさせられた

    おそらく、このblogの読者の皆さんは経験したことがないだろうが、わたしは、google 検索結果に大泣きしたことがある。ただのツールに過ぎないと思っていたgoogle に、そのときは心底感謝したものだ。 事の起こりは、ある電話から始まった。わたしの大切な人が倒れたという。駆けつけると、その人は目を見開いてただ横たわっているだけで、こちらの呼びかけに応えられないようだ。脳梗塞を疑ったが、医師によると、ギラン・バレー症候群だという。 医師はそれなりに勉強してきたようで、症状・療法・後遺症、そして治る可能性と死ぬ可能性を、それぞれ数値を挙げて説明してくれた。 医師のもとを辞したとき、わたしの目の前は混乱と恐怖だけあった。説明されたことは理解できたし(理解できるような言葉を選んでくれた)、理解したことはちゃんとメモってある(病名のつづり、療法、薬)。それでも何をすればいいのか、そもそもなんでこん

    最もオライリー本っぽくない「アンビエント・ファインダビリティ」には、たくさん考えさせられた
  • 要求仕様戦争(その3)

    ■仕様書をどうこうする――「要求」の見える化 「要求を仕様化する技術・表現する技術」がオススメ。「要求とは」「仕様とは」からはじめて、仕様戦争までの経緯、回避するための具体的施策までが分かる。「Excel を用いた仕様書」はなかなか興味深い。 著者は「要求」と「仕様」の関係をロジックツリーに見立てる。こんなカンジ。仕様1~n を実装すれば要求Aが実現する、という仕掛けだ。 ┌───┐ │要求A │ └┬──┘ ├─仕様1(スペック1-1,1-2,1-3...) ├─仕様2(スペック2-1,2-2,2-3...) ├─ … └─仕様n(スペックn-1,n-2,n-3...) まぁ、こんなにキレイにならないだろうが、「このスペック(群)で"やりたいこと"は実現していると言えるのだろうか?」という視線が、どのフェーズでも配れるという点は素晴らしいと思う(実際に目配りするかどうかは別として)。

    要求仕様戦争(その3)
  • 大学新入生に薦める101冊

    良いブックガイド。このテの奴はかなり警戒して読んでるが、嫌味たらしい選・紹介は少なかった。 …というのも、新入生に「教養として」薦める場合、教官は小難しい古典を挙げるのがふつう。難しいを絶賛することで読書人としての鼻を高くしたいのだろうか? しかしこれは違う。テーマを掲げ、古典を排し、大学(ここでは広島大学総合科学部)における教養教育の知的水準とアウトラインを示すためのブックリスト。難しいは「難しいよ」と明示するだけでなく、それを読みこなすための準備まで紹介してくれる。 テーマは4つ。どれも重厚だけど、新書から大著まで取り揃えている。 1. 時代を超える基教養 2. 人間の記録 3. 越境する知 4. 現代の重要問題 どこから始めてもいいし、どれを掘り下げても、根はつながっている。ただ、大人数の共著なので、レベルが低い「どくしょかんそうぶん」が混じっているのが難。紹介されてる

    大学新入生に薦める101冊
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