名古屋大学出版会 2011年7月 ヒュームのエッセイ集としての既刊の「市民の国について」には訳出されていない論文として、まず「懐疑派」を読んでみた。訳文で今一つ論旨がわかりにくと思われた部分については Oxford World Classics の 「David Hume Sellected Essays」のなかの「The Sceptic」とそれに付されたS.Copley とA.Edgar の解説も参照した。 哲学者たちが彼らが発見したと称する原理をそれがあまりに広くに適応できると主張していることについて自分は疑問をもってきた、とヒュームはいう。あらゆるひとはそれぞれの心の傾向を持つ。その心の傾向がその人の欲望と感情をきめる。彼らは自分に関心があることであっても、他人はそれには関心を持たないかもしれないとは考えない。彼らがあることに関心を持つのはかれらが持つ心の傾向からなのだが、その傾向は