解説:我一介の滑稽なり (大室幹雄『滑稽』(2001、岩波現代文庫)解説 pp.378-385) 山形浩生 まずは基本的な情報から。本書は、古代中国を徘徊していた遊説知識人たちについて分析・論述した本だ。遊説知識人と言ってわからなければ、孔子とか、孟子とか、荀子とか、あなたのさぼっていたつまらない漢文の授業(いや、最近の「ゆとり教育」と称する衆愚不教育のもとじゃ、もう選択科目にすらなってないのかもね)にでてきた、いろんな「子」のつく名前の人たちのことだと思えばいい。そうでない人もちょっと入っているけれど、まあそれについては中身を読んでくれ。 本書はそういう本だ。 たぶん、これだけで買い気をそそられる人はあんまりいないだろう。あの「子曰く」とかの世界を思い出すだけで、多くの人は睡魔の猛攻にさらされるからだ。でも、慌てて本書を置く前に、もうちょっとだけ話をきいて欲しいのだ。理由は二つある。孔子