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  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『イデアの再臨』五条 紀夫 (著) |

    『イデアの再臨』五条 紀夫 (著) 新潮文庫nexあらすじ僕は向水学園高等学校に通うごく平凡な高校生。 ある朝、目を冷ますと部屋の壁に四角い穴が開いていた。 学校へ行けばあるべき がない。 周りの人たちは誰もこの異変に気づかない。 戸惑い混乱する僕に、金髪の同級生・安藤がこう告げた。 ここは小説の中の世界であり、自分たちはその登場人物であると。 この世界から次々と物や言葉を消し、混沌の世界を作り上げている犯人はいったい誰なのか。 僕と安藤は真相を求め動き出す。 物や言葉が何者かによって消されていく世界朝起きると部屋の壁に穴が開いていますが、母親は気にかける様子もありません。 さらに学校に行くと入り口のところにあったものがなくなっています。 教室に向かえば、それまで手をかけて引いて開いていたものがなくなっています。 確かにあったはずなのに……と戸惑う僕。 しかし先生も生徒たちも何ら違和感を覚

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『改訂・受験殺人事件【新装版】』辻 真先 (著) |

    辻 真先 (著)創元推理文庫 あらすじ西郊高校三年生の牧薩次と可能キリコは、クラブ活動に学業にとそれぞれに残りの学生生活を楽しんでいた。 高校最後の学園祭を終えた休校日、西郊高校きっての秀才が校舎の3階から飛び降りた。 しかしその死体が発見されたのは4時間後。 さらにクリスマス・パーティーで第二の事件が起こる。 薩次とキリコのコンビが事件の謎に挑む。 飛び降り死体が4時間後に発見される謎ポテトこと薩次とスーパーことキリコの二人は高校3年生に。 相変わらず好奇心旺盛なキリコは様々なクラブを転々とし、現在はオカルト研究クラブに所属。 一方の薩次は入学以来、探偵小説クラブひと筋。 高校生生活最後の文化祭でそれぞれ張り切って担当の仕事をこなし、無事文化祭を終えた休校日のこと。 西郊高校きっての秀才、有原秀之が校舎から飛び降り、死体となって発見されたのです。 目撃者は浪人生の柚木孝とキリコたちの同級

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『アマテラスの暗号(下)』伊勢谷 武 (著) |

    『アマテラスの暗号(下)』伊勢谷 武 (著)宝島社文庫あらすじ日の神社で宮司を務めていた父親が、ニューヨークで銃により殺された。 父の死の真相を探るため、元同僚たちと日へやってきた賢司。 古い歴史を持ついくつもの神社をめぐりその成り立ちや伝承を聞くなかで、思いもかけなかったいくつもの衝撃の真実を知る。 一方、ある重要な手がかりとなる絵を探している中国関係者の動きも激しくなる。 賢司がたどりついた真実とはいったいどんなものだったのか。 次々と明らかになる衝撃の事実ユダヤ人の神道研究家であり、賢司と同様に何者かによって日ユダヤ教団のラビであった父親を殺害されたナオミ・コーヘンがメンバーとして加わり、賢司とイラージ、デービッド、王らは伊勢神宮へ。 案内をしてくれた元巫女のナオミによる神宮のレイアウト、そしてある神事の解説は彼らを驚かせます。 ここでもまた聖書と日神話において否定しがたい類

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『アイネクライネナハトムジーク』伊坂 幸太郎 (著) |

    わあ それ聞いただけで なんか感動しちゃいそうだな。 どんなシチュエーションで つながりがわかるんだろう。 伊坂 幸太郎 (著)幻冬舎文庫 あらすじと娘に出て行かれてしまったサラリーマン、会ったことのない電話での声しか知らない相手を好きになった美容師、かつて自分をいじめていた相手と仕事の場で遭遇してしまったOL。 人生はうまくいかないことも多いけれど、日常の中で奇跡が起こることもある。 そんな小さな奇跡を集めた連作短編集。 日常の中に潜む奇跡と出会いのタネ冷静沈着、仕事は堅実で誰からも信用されている先輩の、愛すると娘が家を出ました。 そんな先輩が作業中に机を蹴ったため棚が倒れ、サーバーが破損。 後輩である僕は動転し、バックアップデータ媒体にコーヒーをこぼしてしまいます。 破損部分のデータを取るために、僕は駅前でアンケート作業をすることに。 大きな画面にはボクシングの試合中継が流れ、誰も

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『旅の終わりに君がいた』いぬじゅん (著) |

    いぬじゅん (著)実業之日社文庫 あらすじ季俣埜乃は婚約者に別れを告げられ、仕事も失った。 最後の晩餐を、と考えていると1台のキッチンカーが目に止まる。 「メニューはない」とぶっきらぼうに告げる店主から出された料理は埜乃にとって思い出のある懐かしいもの。 その味に、知らず埜乃は涙を流す。 死を迎える者に最後の事を提供するキッチンカー「FINE」、そして店主・神代悠翔の思いとは。 『最後の晩餐』をキッチンカーで交際三年半、来年の五月に婚約者の剛と結婚する予定だった埜乃。 しかし突然彼から『全部なかったことにしてほしい』と告げられます。 二人で住む予定だったアパートも、式場も指輪もキャンセルする、と。 実家の兄と義姉に報告するも冷たくあしらわれます。 結婚のために仕事も辞めてしまった埜乃。 剛が他の女性と付き合っていたことも判明し、絶望の淵に立たされた埜乃は己の死を予感します。 最後の

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『復讐は合法的に』三日市 零 (著) |

    その美貌を生かして ターゲット周辺の人物や 人に揺さぶりをかけていくの。 もちろん訴えられない範囲でね。 『復讐は合法的に』 三日市 零 (著) 宝島社文庫あらすじ六年交際し、結婚まで考えていた彼氏に裏切られてしまったOL・麻友。 そんな彼女に声をかけてくれたのは「合法復讐屋」のエリス。 弁護士の資格を持つエリスが依頼を受け、ターゲットに対し合法的に復讐劇を仕掛ける。 危険な副業にいそしむ狡猾な男、野放しの小児性愛者、正義の剣をSNS上で振るう輩。 様々な相手に復讐を仕向ける中、意外な事実が明らかになっていく。 合法的な復讐を請け負う弁護士・エリス大学時代から付き合いはじめ、同棲していた彼・俊介に別れを告げられた麻友。 彼は新しい彼女がすでにいて、おまけに二人の結婚資金としてためていたお金まで持っていってしまったのです。 すがるところを平手打ちされ、雨の中をうつむいて立っている時に、美し

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『紙鑑定士の事件ファイル 紙とクイズと密室と』歌田 年 (著) |

    歌田 年 (著) 宝島社文庫 あらすじあらゆる紙のデータを頭に、その感触を指に覚えさせている紙鑑定士の渡部は、紙業界誌に掲載されたクイズに注目。 「紙人32面相」から出された懸賞金付きクイズを解こうとしていたところ、様々な事件に巻き込まれる。 学習塾で起きたカンニング騒動、書店に怪文書を仕込んだ犯人とその方法。 クイズと謎を解いていった渡部は「紙人32面相」からある事件の真相を探るために協力してほしい、と請われ…。 クイズとカンニングと密室の謎紙鑑定士の渡部は業界誌『月刊KAMI−ZINE』に掲載された懸賞付きクイズに目を止めます。 『紙人32面相の紙ってる!推理クイズ』というタイトルのクイズの正解者には賞金十万円が贈られるのだとか。 張り切って取り掛かった渡部ですが、なかなかしっくりくる答えが見つかりません。 仕事絡みで打ち合わせをした模型のプロ、土生井から彼の知人が経営する塾で小学生た

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』皆川 博子 (著) |

    皆川 博子 (著)ハヤカワ文庫JA あらすじ18世紀。 独立戦争の真っ只中にあるアメリカで、一人の青年が殺された。 植民地開拓者の大地主と先住民の間に生まれたアシュリーを殺した人物である英国兵のエドワードは、捕らえられ監獄にいるという。 新聞記者のロディは同じく開拓者の大地主の息子、ラルフに頼まれアシュリーの手記を持って獄中のエドを訪ねる。 手記を読んだエドが語り出したのは殺した理由ではなく推理だった。 エドとアシュリーがともに遭遇した連続不審死やスパイ疑惑の真相、そして犯人の秘密とは。 独立戦争中のアメリカで起こる事件と疑惑『開かせていただき光栄です』から始まるシリーズ三部作の完結編。 独立戦争により街の中でも国王派と愛国派に分かれ、独立の声が日増しに大きくなってきているアメリカ。 新聞記者のロディはアシュリーを殺した理由を聞くべく、監獄にいるエドのもとへ。 アシュリーの手記を読んだエド

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『お梅は呪いたい』藤崎 翔 (著) |

    『お梅は呪いたい』藤崎 翔 (著)祥伝社文庫あらすじ築百年以上にもなる古民家の解体作業中に、古びた日人形が発見された。 それは今を遡ること五百年前の戦国時代に活躍した呪いの人形だったのだ。 興味位の底辺ユーチューバーに引き取られた呪いの人形のお梅は、この男を呪うことにするのだが、何故かなかなかうまくいかず…。 五百年ぶりの世界に戸惑う呪いの人形 お梅かつては戦国大名を滅亡させたこともある、呪いの人形、お梅。 五百年ぶりの世界は箱に動く絵があったり、指を軽く押すだけで、部屋に火ではない明かりが灯ったりと戸惑うことばかり。 それでも人間を呪うことが自分の使命であるお梅は、自分を引き取った底辺ユーチューバー悠斗の部屋を夜中にあちこち歩き回り検分します。 すると夜中にスマホ撮影をしていた悠斗にこの姿を録画されてしまいます。 悠斗は驚きつつ早速動画にアップすると悠斗のチャンネルははじめてバズる状

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)』髙田 郁 (著) |

    髙田 郁 (著)ハルキ文庫 あらすじ昭和九年(一七七二年)、江戸で起こった「行人坂の大火」は多くのものを焼き尽くした。 大坂天満に店を持つ呉服商「五鈴屋」。 江戸店を構えた店主の幸をはじめ、店に関わりのある人々を描いた物語。 八代目店主周助の迷いと決意、江戸に残り新たな流行を生み出すべく考え続ける菊栄、姉への嫉みと憎しみから抜け出せずにいる妹・結。 そして還暦を迎える幸が五鈴屋の「これから」を考えある決断をする…。 創業百年を迎えた五鈴屋は次の百年に向け歩き出す。 五鈴屋に関わる人々 それぞれの思いと人生播磨国、赤穂郡の東の端、揖西との境。 故郷の摂津国津門村に似たこの地にぽつんと建つ旅籠。 夫の忠兵衛が主を務めるこの旅籠で、二人の幼い娘を育てながら汗を流して働く結。 心の中では、江戸の大店で過ごしたきらびやかな日が浮かび、こんなはずない、このままで終わっていいはずがない、と思っています

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『バスクル新宿』大崎 梢 (著) |

    『バスクル新宿』大崎 梢 (著)講談社文庫あらすじ遠く離れた地に住む大事な人へ会いに、話を聞きたい友人を捜しに…。 様々な思いを乗せて走る夜行バスは、新宿のバスターミナルへ、または家族が待つ遠く離れた場所へと向かう。 待合室で、バスの中でちょっとした出来事から言葉を交わす初対面の人々の人生が鮮やかに交わっていく。 深夜バスの客同士のふとしたやりとりから…山形から新宿行きの夜行バスへ乗るために駅へ向かう葉月。 トイレで用を済ませていると、出口付近で電話をしている女性の声が聞こえてきました。 仕事を断っているようでしたが「今、函館ですよ」という言葉に驚きます。 電話の主は都会のOL風の女性。 ここは山形なのに何故?と思いつつ待合室へ。 年配の女性が夫らしき男性に、マスクを忘れたことについて責めています。 するとさきほどのOLが自分の分はあるからどうぞ、と年配女性にマスクをすすめます。 「袖振り

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『私、産まなくていいですか』甘糟 りり子 (著) |

    甘糟 りり子 (著)講談社文庫 あらすじホテルのウエディングプランナーとして働く今村美春は、夫の朋希の誕生日プレゼントに奮発してライカのカメラを用意した。 あまり喜んだ様子ではない朋希は、四十歳を迎えた今、子供がいらないという人生の選択に迷いが出てきた様子。 二人の意見はかみ合わず、子供のことが原因で離婚することに。 妊娠、出産をめぐる女性と夫婦の選択、生き方を描く。 子供は持たない、と夫婦で決めていたはずが…鎌倉のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春は、夫の朋希が一目惚れした鎌倉の一軒家で夫婦二人暮らし。 デザイン重視で使い勝手は決して良いとは言えない家ですが、夫婦で話し合い、今後子供は作らないことを確認し、引っ越してきました。 朋希の四十歳の誕生日に彼が好きなカメラをプレゼントしますが、思ったような反応を見せない朋希。 四十歳という歳を迎え、この先も子供を持たないという選択で

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『にぎやかな落日』朝倉かすみ (著) |

    『にぎやかな落日』朝倉かすみ (著)光文社文庫あらすじ八十三歳のおもちさんは北海道で独り暮らしをしている。 東京に住む娘はおもちさんのことを心配して一日に二回電話をしてくれるし、近くに住んでいる息子の嫁のトモちゃんは車で買い物につれていってくれる。 文句を言ったり笑ったりしながら日々を過ごしていたおもちさんだが、何とこのたび入院することに。 人生最後に向かう日々の暮らしと胸の思いを丁寧に描く。 八十三歳、おもちさんの独り暮らしの日々独り暮らしのおもちさんのところに毎日二回、午後1時と午後6時に電話が入ります。 東京に住む娘、ちひろからで「ごはんべた?」「なにしてたの?」という問いに「ごはん一膳、ペロスケべたワ」「朝から動き回ってたからサー」と答えるおもちさん。 すごいね、と相槌する娘の言い方が赤ん坊に対するもののようで、じれったさを感じます。 会話の中でも思い出せない部分があって焦った

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『アルモニカ・ディアボリカ』皆川 博子 (著) |

    皆川 博子 (著)ハヤカワ文庫JA あらすじ18世紀のイギリス、亡き者として生きると言い残し去っていった愛弟子のエド、ナイジェルを思い、解剖医のダニエルは傷ついた心がいまだ回復できずにいた。 一方、残りのメンバーの弟子たちは盲目の判事、ジョンの要請により、犯罪防止のための新聞づくりに励んでいた。 ある日、身元不明の屍体の情報を求める広告依頼が彼らのもとに舞い込む。 屍体に描かれた奇妙な暗号を調べるにつれ、ある人物の意外な過去が明らかになっていく。 天使と見紛う屍体の正体とその過去とは新聞社へやってきたのは逓信大臣・ダッシュウッドの従兄弟でウェスト・ウィカムの管理人、ジャガーズ。 閉鎖されていた白亜の採石場の坑道内で身元不明の屍体が発見されたため、この屍体についての情報を求める広告を新聞に出したいと言うのです。 また現場では天使を見たと発言する者がいること、屍体の胸には「ベツレヘムの子よ、よ

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『卒業のための犯罪プラン』浅瀬 明 (著) |

    学内の堂や家賃の支払い、 さらには単位までもがポイントで 購入できるの。そのポイントを 稼ぐために商売をしたりアプリを 開発したりと学生たちは頭をひねるのよ。 『卒業のための犯罪プラン』浅瀬 明 (著)宝島社文庫あらすじ大学二年生の降町歩は家庭の事情により、今年度中に卒業せざるを得ない状況になった。 彼の通う「庭大」こと木津川商科大学ではポイント制度が取り入れられており、学内の堂や家賃の支払い、さらに単位までもがポイントで購入できる。 学生たちはこのポイントを手に入れるため様々な「事業」に取り組む。 歩もポイントを稼ぐために、不正行為によるポイント取得者を摘発する「監査ゼミ」に所属。 ところが調査対象から取引を持ちかけられる。 卒業をかけた「ポイント稼ぎ」の行方は父が亡くなり、学費の工面が厳しくなったため今年度中に卒業しなければならなくなった歩。 卒業に必要な単位を取得するためにはまと

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『死人の口入れ屋』阿泉 来堂 (著) |

    『死人の口入れ屋』阿泉 来堂 (著)ポプラ文庫あらすじ警察を辞め、新たに古物商の阿弥陀堂で働くことになった久瀬宗子。 ここで扱う品物は単なる古物ではなく「忌物(イミモノ)」と呼ばれる、霊魂が取り憑いた物品。 憎しみや恨みを抱えた客にこれらの品を貸し出している。 霊の力を借りて客たちが手に入れたものとは。 霊の憑いた曰く付きの品を貸し出す阿弥陀堂前職の教育係をしてくれていた日下部の紹介で阿弥陀堂の面接へとやってきた宗子。 警察を辞めた理由を社長の阿弥陀に問われ、正直に話します。 強盗犯が入った現場に向かい、同行した先輩の指示に従わず、階段にいた子供を助けようとした結果、先輩が犯人からの攻撃を防ぎきれず怪我を負ってしまったこと。 問題は、その子供はすでに殺されていたという事実。 霊が見える宗子は同じ状況が再び起こることを怖れ、職場を去ったのでした。 阿弥陀堂の商売は、霊が取り憑いた曰く付きの品

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『いわいごと』畠中 恵 (著) |

    『いわいごと』畠中 恵 (著)文春文庫あらすじ神田町名主の跡取り息子、麻之助の元に、何と縁談が三つもやってきた。 三人とも町名主の娘であり、うち一人は江戸美人番付の一位にもなった人物。 しかし、どの娘もなにやら事情を抱えているようで…。 話がまとまらず周囲の人々が気を揉む中、ついに麻之助は祝言をあげることに。 麻之助の元に三件もの面談が舞い込む先に起きた深川の出水で、話を進めていた縁談相手のお雪が記憶を失くし、なかなかまとまらなかった麻之助の縁組。 新しい町名主を決める際に縁のできた町年寄の樽屋から縁談の話を紹介されました。 しかも一度に何と三組も。 うち一人は天女とも噂される江戸一の美人です。 何故、一度に三つもの縁談が、そして交際となる相手のもとにくるのか。 そう樽屋にたずねる麻之助。 しかし樽屋の手代によれば、江戸一の美女お須江はお大名から側室の話がきており、二人目の小滝は武家奉公に

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『ネコシェフと海辺のお店』標野 凪 (著) |

    『ネコシェフと海辺のお店』標野 凪 (著)角川文庫あらすじ仕事恋愛、子育てなど悩みを抱えた人の前にふいにあらわれるのは、海辺にぽつんと建つ小屋。 ここでは料理上手なシェフが、悩む彼らにとっておきの料理を振る舞う。 豊かな海の幸を使った料理とシェフの言葉に客たちはいつしいか心がほぐれ、自分だけの道を見出していく。 悩む主婦の目の前に現れたサバトラのシェフ西脇千晶は四十歳の専業主婦。 夫の竜馬と高校生の娘、梨央との三人家族。 久しぶりに大学時代の友人、雛菊と事をし、ずっと仕事を続けている彼女はすごい、と改めて感じます。 自分は結婚を機に仕事を辞め、その後は家と家族の面倒を見てこの年になってしまった…。 若い女が近くにいる気配を見せる夫、自分の世界を築きはじめた娘、そして衰えていくだけの自分。 世間や夫、そして夫の若い恋人を見返そうと、求人サイトから面接を申し込んだ千晶。 気合いを入れて面

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『あなたが殺したのは誰』まさき としか (著) |

    まさき としか (著)小学館文庫 あらすじ中野区のマンションで女性が殴られ意識不明の状態となる事件が発生。 被害者の長澤美衣紗はシングルマザーで、娘のしずくは連れ去られ行方不明に。 現場には「私は人殺しです」と書かれた便箋が。 時は遡り、1990年代はじめ頃、北海道鐘尻島では巨大リゾート「リンリン村」の建設が頓挫。 島の未来に期待し裏切られた島民の一人が自殺したことをきっかけに、島では立て続けに不幸な出来事が起こる。 バブル期の熱に踊らされた島民たちと、シングルマザーを襲った事件のつながりとは。三ツ矢、田所コンビが事件の真相を探る。 過去に起こった島での出来事と現代の事件の関わりとはリンリン村の建設は中止し、企業は撤退する。 この知らせを聞き、島の老舗料亭の息子、小寺陽介は、観光客を見込んで多額の借金をした父親、そして店を継ごうと考えていた自分の将来に不安を覚えます。 建設工事の下請けをし

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『雪のなまえ』村山由佳 (著) |

    父親は曽祖父の農業を学び この地でやりたいことが あるようなの。母親は東京に残り 仕事を続けているわ。雪乃は 長野で様々な人と出会い交流していくの。 『雪のなまえ』村山由佳 (著)徳間文庫あらすじ小学五年生の雪乃は学校でいじめに遭い、不登校に。 ある日の朝、父親の航介が「田舎暮らし」宣言をする。 会社を辞め、雪乃とともに曾祖父母が暮らす長野で農業をするのだと言う。 母親の英理子は仕事を続けるため単身東京へ残ることに。 自分や両親、曾祖父母、そして地元の人々。 様々な人たちの思いに、あたたかな気持ちになったり、苦しんだりしながら、雪乃は少しずつ成長していく。 傷ついた心を抱え 父とともに曾祖父母のいる長野へいつも突然思いついては行動に移す航介の「田舎暮らし宣言」。 生活拠点が変わること、雪乃の中学受験、そして自分の仕事などの関係から反対する英理子。 結論は出ないまま、とりあえず一度航介の祖母