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ブックマーク / youkoseki.com (14)

  • キャンセル・カルチャーをキャンセルせよ

    youkoseki.com キャンセル・カルチャーをキャンセルせよ 毎日なにかが炎上している。 ミュージシャンの小山田圭吾はオリンピックの開会式に関わるというニュースが流れると、昔のいじめ自慢が話題になって炎上し、開会式への参加を辞退することになった。同じオリンピック開会式の演出を行っていた小林賢太郎は、過去の劇作でホロコーストを引き合いにしていたことが炎上し、開会式の前日に解任されることになった。 ホビージャパンの編集者はTwitterで転売ビジネスを容認する発言をして炎上退職処分となった。徳間書店の業務委託を行っていた編集者は、同じくTwitterで大坂なおみのオリンピック敗退を揶揄して炎上し、契約解除となった。 すべてこの一週間ほどのことである。なるほど、日はモラルにとても厳しい。 つまり開会式に関わった残りのメンバーは生まれてこれまで潔白な人達ばかりなのだろう。オリンピック選手

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  • 完璧な組織を作るむずかしさ、あるいは優先順位の問題

    youkoseki.com 完璧な組織を作るむずかしさ、あるいは優先順位の問題 不思議なことだが、技術力のすごい会社というのは、往々にしてマーケティングが下手である。逆に、マーケティングのうまい会社は、だいたい技術力がそれに伴ってなかったりする。「あっちの会社の技術に、こっちの会社のマーケティングがあれば最強なのに」みたいな業界話はいろいろなところで聞くのではないだろうか。 同様に、新しいプロダクトを始めるのが得意な会社は、長い時間をかけてプロダクトをサポートするのが疎かになりがちである。若手がのびのびと仕事をしている会社に限って、マネジメントは疲弊している。経営者にビジョンがあると言われる会社は、現場に発言力がなかったりする。人材が硬直化している会社では中途採用で優秀な人を確保するのが難しいし、流動化しすぎた会社にはよく分からない人がコネで入ってくる。 なぜ完璧な組織はないのだろうと思っ

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  • 面白いことが自動で起きない

    youkoseki.com 面白いことが自動で起きない 個人的な例で恐縮なのだが、私は昔からサバゲーに興味があって、機会があれば一度参加してみたいと思っていた。もちろん、オープンなサバゲーの集まりみたいなのはあちこちにあって、そこに参加することも出来るのだろうが、なにせ人見知りだし、いきなり知らない人に撃たれるのも辛いので、知り合いが誘ってくれないかなあと、たぶんもう20年くらい考えていたのである。 サバゲーをやる知り合いはいて、楽しかったという話を聞いたり、Facebookで見かけたりすることはあった。そういうときは「次にやるときは呼んでよ」くらいのことは言った。ただ、知り合いも自分でサバゲーを企画するわけではなく、あるいはただ私に人徳がないのかもしれず、人からのお誘いというのは残念ながらなかった。 それである日、「あれ? このままだとサバゲーやらないまま死ぬのかも」と思った。いや、別に

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  • 炎上広告批評:ステマはなぜやめられないか

    youkoseki.com 炎上広告批評:ステマはなぜやめられないか 吉所属の芸能人が、京都市のふるさと納税事業についてツイートしたことに対して、金銭を受け取っておきながら広告と明記していなったことを京都新聞に暴かれ、ステマだと批判を受けている。 典型的なステマ事案なのだが、一方でこれは地獄の釜の蓋を開ける話でもある。この面白さが広告業界外にはあまり伝わっていないように思うので、ここにまとめておく。 なぜステマと認めないのか 今回の事案に対して、おそらく一番素朴な反応は「お金をもらってるのだから広告なんだし、広告なら広告と明記すればいいじゃないか。なにがそんなに難しいのか」というものだろう。 しかし、広告とはなんだろうか。芸能人がお金をもらってツイートしたらそれは広告だろうか(これについては後述)。もし吉の回答が「今回は芸能人が納税事業についてコンサルティングを行ったもので、受け取った

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  • Twitterと距離を置くこと

    youkoseki.com Twitterと距離を置くこと このごろTwitterと距離を置いている。同じようにTwitterと距離を置きたいという人に向けて、参考のためにその方法を書いておく。ただ、題に入る前にいくつか断り書きがある。 まず、以前と比べて個人的にはTwitterと距離を置いてはいるものの、Twitterは今も見ている。めちゃくちゃ見ていると言ってもいい。おそらく今もなお9割のTwitterユーザーよりTwitterを愛用していて、Twitter中毒から抜けきれたとは到底言えない。寝る前に缶チューハイを3空けてた人が、最近はだいたい1-2、たまに酒なしでも眠れる日が来た、というような話である。 そういうわけで、これはデジタルデトックスみたいな話ではない。私は今もスマホばかり見ていて、パソコンとほぼ一日中向き合っている。Twitterで失っていた時間を取り戻し、家族や友

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  • 食べられログ

    youkoseki.com べられログ 二日酔いの朝、スマートフォンをチェックしたら、べられログからの通知があった。昨日の居酒屋からの評価だった。細かく読まなくても分かる。「★★☆☆☆」、星ふたつだ。これで点数はまた下がった。2.57。それが僕の客としての点数だ。2点台に落ち込んで、もう半年が経つ。 夏のはじめに、恋人と別れた。いや、春の終わりに別れたというべきか。大学時代からの付き合いだったが、五月の終わりから突然連絡がとれなくなり、一月ほど後にようやく電話が繋がったときには、もう新しい男と同棲をはじめていた。「どう話すか迷っていたの」と彼女は言った。「普通に話をしてくれれば良かったんだよ」と僕は言った。 会社までの通勤電車の中で、僕は自分に対する星ふたつのレビューを読んだ。 「★★☆☆☆:四名での予約でしたが、五分遅れて来店されたのは三人だけでした。注文内容は普通で、一度店員が注文

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  • 「オウンドメディアブームの終わり」について

    youkoseki.com 「オウンドメディアブームの終わり」について オウンドメディアブームは終わったという風潮があるようだ。こういう、マーケティング業界人がよくやる、ちょっとした流行を「〇〇はじまった!」と言って持ち上げ、ほどなく「〇〇終わった!」と落とすサイクルは、当にいかがなものかと思います。 オウンドメディアは、Wikipediaいわく「自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど、企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す」ということで、まあインターネット広報誌である。 そんなインターネット広報誌が、なぜ2010年代の終わりになって一瞬ブームになったのか。まずそこが不思議である。 そもそもオウンドメディアの価値ってなんだ 個人でもブログを運営できる今日、メディア運営なんて誰だってはじめられるものだ。 とはいえ、ちゃんとしたライター

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  • ルッキズムが否定されたとき、広告は何を語るのだろう

    youkoseki.com ルッキズムが否定されたとき、広告は何を語るのだろう 私は、広告というものが昔から好きであった。しかし広告のメッセージが、ときどき(あるいは頻繁に)息苦しく感じることも確かである。その息苦しさは、最近、Netflixが見事に広告にしてみせた。 私もこれはすごく良い広告だと思うのだが、ちょっと意地悪に言えば、あれをしろこれをしろと言っていた広告が、次にはリラックスして君は君らしくあればといいと言いはじめるのは、この業界の常套手段でもある。緊張と緩和、アメとムチだ。 一方で、なんだか潮目が変わりつつあるのかなと思うこともある。それはルッキズムに関することである。 たとえば、外見をよくしよう、というのは広告の基的なテンプレートであった。具体的には、お洒落になってモテよう、恋を見つけよう、できる男は見た目が違う、ママになっても綺麗に、何歳になっても若々しく、みたいな。多

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  • そごうの広告と、広告がジェンダーを語る覚悟について

    youkoseki.com そごうの広告と、広告がジェンダーを語る覚悟について 元旦、横浜へ遊びに行って、そごうに寄ったら、女性の顔にクリームがぶつけられている、インパクトのあるポスターを目にした。 帰宅して調べてみたら、まさに元旦から始まった、そごうの新しい広告らしく、「女の時代、なんていらない?」「わたしは、私。」といった文章が添えられている。 すでにネットでは賛否あるようで、批判したブログ記事が話題になっていた。また、「女の時代」という表現が昔のコピーの引用という意見もあった。 私も一日考えて、それなりにまとまった意見が出来たので、ここに書く。 構成の問題 賛否はさておいても、この広告は分かりづらい。理由として、私の見方では、一枚のポスターの中に、大きく三つのメッセージが含まれているからである。 一つのメッセージは「女の生きづらさ」である。文中にもあるし、インパクトのある写真はまさに

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  • あなたがネットでエロ広告を見るのは、あなたがエロいからではない

    youkoseki.com あなたがネットでエロ広告を見るのは、あなたがエロいからではない 「ネットのエロ広告がひどい」というようなことを言うと、「ネットの広告はターゲティングされてるんですよ。エロ広告が出るのはあなたが普段エロサイトばかり見ているからではないですか」と言い返す人がいる。 最近どうも流行りの考え方のようで、このごろツイッターで似たようなやりとりを何度も目にしている。 一見、このツッコミに反対することは難しい。自分がエロサイトを見ていないことを他人に証明できないからだ。そもそも大人ならエロサイトを見ても構わないし、それと一般サイトにエロ広告が溢れる問題は無関係なのだが。 だからこれ以上の誤解が広まらないように、ここに書いておく。あなたがネットでエロ広告を見るのは、あなたがエロいからではない。エロ広告は、あなたがエロいと知って配信されているとは限らない。 反証の方法 反証は簡単

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  • TikTokの発明:起動すると始まること

    youkoseki.com TikTokの発明:起動すると始まること 中国人の元同僚が何人か働いているので、TikTokについては少し前から注目していたのだが(少し前から注目していたアピール)、実際これはなかなか面白いアプリである。 なにがすごいって、起動するといきなりコンテンツが流れてくる。アカウント登録のフローがない。使い方の説明もない。なにかをフォローする必要もない。 20年ほど巻き戻って考えてみる。インターネット(厳密にはWWW)というのは、そもそも超能動的な動きが求められるメディアであった。スクロールしないと先に進まないし、クリックしないと次の画面に切り替わらない。 そんな中でネットユーザーはお気に入りのウェブサイトを見つけ、そこをブックマークするようになり、ネットサーフィンに没頭した人達は、はてなアンテナのような更新チェッカーを利用したり、RSSリーダーでフィードを購読するよう

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  • Instagram: 使わなくていいアプリの成功譚

    youkoseki.com Instagram: 使わなくていいアプリの成功譚 9月25日、Instagram創業者の二人、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーが、経営から離れることを発表した。 Instagramがローンチしたのは2010年10月のこと。2012年にFacebookに買収されてからも、創業者の二人は変わらずCEOとCTOとして経営を取り仕切っていた。 私はその2012年から4年半ほどFacebookで働き、そのうち最後の1年と少しだけ、Instagram広告の担当をしていた。古巣なので贔屓もあるだろうが、控え目に言ってもInstagramの成功は特筆に値する。 たとえばInstagramは10億人を超える月間アクティブユーザーを抱えるが、ほぼモバイル専用アプリとしてこの規模に到達したのは、WeChatと、同じFacebook傘下のWhatsappくらいだろう。 Face

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  • 面接をハックする:エピソードのこと

    youkoseki.com 面接をハックする:エピソードのこと 就職活動や転職活動で不思議なのは、選考が面接に偏重していることである。 もちろん、一部の職種では技能が見られることもある(エンジニア職では特にノウハウが蓄積されている)。そもそも資格が必要な職種もある。他愛のないグループワークや、SPIのような愚にもつかない試験を課されることもある。 それでも、選考の多くが、面接という名目のおしゃべりで済まされることは間違いないだろう。だいたいの選考において、面接は3回から5回くらいあり、それぞれ短くて半時間、長くて1時間くらいとする。相手が話す時間も考えると、のべ1時間から3時間くらいのあいだ、うまく喋れた人が希望の職に就けるということになる。 就活ではコミュニケーション力が求められるとはよく聞くが、そもそもコミュニケーション力以外がほとんど見られていないというのが実態である。 面接の中でも

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  • 1995年はすごかった

    youkoseki.com 1995年はすごかった 1995年といえばWindows 98が発売された年で、発売日には秋葉原中のパソコンショップが深夜営業をしていたものだった。あちこちに長い行列が出来たせいで、一部の行列で混乱が起き、「物売るっていうレベルじゃねぇぞ」の名言が生まれたのがこのとき。 アップルはアップルでスティーブ・ジョブズが復帰して、Think Differentのコピーと共にiMac、iPod、iPhoneを一斉発表したのが1995年だった。大きなスクリーンにハンマーを投げつける伝説的なコマーシャル(Copland)がすごく話題になって、今思えばIBMの一強時代に終わりを告げた象徴だった。 パソコンもスマホも、今でこそ海外メーカばかりだけど、当時はまだ国産メーカが元気だった。NECPC98やPC88、MSXなんかが人気だったな。スマートフォンはドコモがiPhone対抗に

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