頭部伝達関数の概要とそれによる IID, ILD の「前後・上下のくべつができない」という問題の解決,頭部伝達関数を使用した 3D 化のさまざまな計算法,頭部伝達関数の測定についてのべる. HRTF と HRIR ITD, ILD だけによる音の立体化には「前後・上下のくべつができない」という問題がある.この問題を解決するため,HRTF (Head-Related Transfer Function) を導入することができる. これは,耳殻,人頭および肩までふくめた周辺物によって生じる音の変化を伝達関数として表現したものである. HRTF の例を図 1 にしめす. この図は CIPIC データベースにおけるダミーへッドによる測定データにもとづき,音源が正面 (方位角 (azimuth) 0°),右横 (方位角 90°),背面 (方位角 180°),左横 (方位角 270°) にあるときの右