自民党税制調査会の甘利明会長は、10月の新聞社からのインタビューで、退職所得への課税が終身雇用を前提としており、転職者と非転職者で大きな手取りの格差が生じているとして、2020年度税制改正で所得税の見直しを議論する考えを示していました。 しかし、2019年12月12日に決定された「令和2年度税制改正大綱」では、退職金課税の改正は見送られ、企業の内部留保を放出させるため、ベンチャー企業投資や「5G」通信網整備を促すための税制などが盛り込まれました。優先順位的に、今は、退職所得の不均衡解消よりも景気回復のための投資促進税制の方が大事という判断なのでしょう。 ただ、今回の大綱にも、退職金にかかる税制について課題があることは明記されており、改善について考える必要があるとしています。そこで、今回は近い将来改正が見込まれる退職金課税(所得税)について、どのような問題があるのかについて考察したいと思いま