相次ぐ失政と醜聞により、「退陣」と「やぶれかぶれ解散」の二者択一を迫られていたはずの菅直人首相が、東日本大震災を奇貨として続投を決め込んでいる。民主党の岡田克也幹事長は「危機的状況で首相を代えるなどありえない」ともっともらしい理屈をつけるが、菅首相でなければならない理由はない。むしろ危機に直面した現状において無能な味方は敵よりもよほど恐ろしい。 2日午前、約160人が避難生活を送る岩手県陸前高田市の市立米崎小学校へ視察に訪れた首相は、赤いランドセルを見つけ、被災者にこう話しかけた。 「新しいんですか。ナントカ直人がくれたのかと思いました…」 大震災で多数の児童が死亡・行方不明となった。新聞やテレビでは、泥だらけのランドセルをなでながら涙を流す遺族の姿を繰り返し報じてきた。その非情な現実を知らなかったのか。首相のくだらない冗談との落差に愕然(がくぜん)とする。 そのくせ、昨年末から全国の児童