フォティーンフォティ技術研究所 先端技術研究部長 村上 純一 2008年8月,BlackHatブリーフィングスで米国の研究者が「SMM Rootkit」という新しいタイプのルートキットを発表した。SMMとはx86プロセッサが備える動作モードの一種で,OSの管轄外でコードを実行できる。「SMM Rootkit」を開発・発表したのはShawn Embleton氏とSherri Sparks氏である。 セキュリティ上のSMM悪用の可能性は,2006年にLoic Duflot氏らによって既に指摘されていた。Embleton氏とSparks氏が開発した「SMM Rootkit」は,Duflot氏の研究をベースとした具体的な攻撃シナリオの一例だと言える。両氏はSMMの特性に着目し,SMM時に実行される正規のコードを悪意のコードに置き換えることで,OSやアプリケーションに変更を加えることなくキーロガーを