富士山の東のふもと、静岡県小山町。金太郎伝説もある自然豊かなこの土地に、使用済みアルミ缶を一貫処理でリサイクルする工場がある。「日本一のアルミ再生工場」として、飲料メーカーの中では知る人ぞ知る存在だ。使用済み素材を繰り返し同じ素材として使う「クローズドループ・リサイクル」。飲料缶、自動車、衣料品など分野を問わず採用が広がっている。 薄暗い工場建屋に入ると、銀や金、赤、青などの極彩色を放つ巨大な金属の塊が目に飛び込んできた。コンクリート床に並ぶ金属塊は、膨大な数のユーズドアルミ缶をプレス機で圧縮したものだ。「使用済み」の刻印を押したかのように、強烈な力によってぐしゃぐしゃになっている。 哀愁すら漂う金属塊。しかし、三菱アルミニウム鋳造工場鋳造二課の岡本啓伸課長は目を輝かせて見つめる。「これぞザ・都市鉱山という感じがしませんか。何度でもアルミ缶として生まれ変わらせますよ」。宝の山を目の前に再生