土田 陽介 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員] Jul. 05, 2022, 07:15 AM ビジネス 6,071 6月28日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7)で発せられた首脳宣言は、近年稀に見るほど説得力のないメッセージだったのではないか。特に、気候変動対策に意欲的的な国・地域による「気候クラブ(climate club)」を設立するという構想は、主催国ドイツの肝煎りによるものだ。しかし、そのドイツが梯子を外しにかかっている。 というのも、現在ヨーロッパ各国は、気候変動対策、特に脱炭素化の観点からすれば受け入れられないはずの「石炭火力発電への回帰」を強めているからだ。2021年10月下旬に英グラスゴーで開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)では石炭火力発電の早急な廃止で合意に達した。それを主導したのは、ヨーロッパだったはずだ。 ヨーロッ