こどもじみた考えである。 非倫理的で不謹慎な、道徳的に許されない想いである。 だが我々がうっすらと自覚している願い。自殺とも自己嫌悪とも違う不愉快な破滅願望。 破壊衝動。 全人類に対する良心の自由に保障された殺害予告。 エゴイスティックな、とはいえ自我でなく無意識の解放ともいえるその願い。 そんな願望に駆られて、我々はしばしばメトロポリス破壊の夢を見る。 都市の壊滅。社会の混乱。世界の終わり。 破壊というテーマはあらゆるジャンル、数多くのメディアにおいて描かれてきた。 時には関東大震災や東日本大震災などの災害のメタファーとして、時には東京大空襲や原子爆弾への恨みとして、テロリズムとして、そして多くの作品にはエゴイスティックな破壊衝動が裏に隠されている。 ぼくとフリオと校庭で (アクションコミックス) 作者:諸星 大二郎 双葉社 Amazon 街を壊したい。 諸星大二郎の短編である『影の街』