子供の頃何となく見ていたガンダムの一場面。 「さよなら、父さん」と言いながら何も言わずに静かにホワイトベースへと帰るアムロの後ろ姿は何とも言えない失意に満ちていた。 あれから20年以上が経った今、まさか私があのアムロのような失意に満ちた気持ちを持つなど思いもよらなかった。 兄は昔から勉強ができた。 小学校、中学校、高校と常にトップクラスの成績だった。 私はどちらかと言うと落ちこぼれで泣き虫で、よく兄から勉強を教わったりしていた。 今でも鮮明に覚えているのが、小学校5年生の頃、宿題で出された百人一首を覚えられなくて泣いてしまって、そこへ兄が飛んできて夜遅くまで付きっ切りで暗記を手伝ってくれた。 自分にとって兄は何でもできるヒーローであった。 そんな兄も就職を機に実家を出て行った。 就職先は今でも名の知れた大企業であった。 就職して数か月でカッコいい車を買い、実家へ凱旋帰省してきた。 当時中学